■ 鹿児島発の焼酎スタートアップとして創業

 2022年に鹿児島市で創業した酒類スタートアップとして、焼酎やさつまいもを中心に、商品開発・販売・輸出・マーケティングを一体で手がけています。創業者の冨永咲氏は鹿児島出身で、大学卒業後は新聞社にて広告の企画営業に従事しました。首都圏でのマーケティング経験を積む一方、焼酎に対する価値認識が大きく変わった現体験をきっかけに、地元鹿児島へUターンして起業しました。単なる地場産業ではなく、「伝え方次第で価値が変わる」という広告の視点を持ち込んでいる点が特徴です。
LINK SPIRITSのミッション

■ 国内焼酎市場は縮小し再編の余地が大きい

 焼酎市場はピーク時の約3,000億円規模から縮小し、現在は約2,200億円規模まで落ち込んでいます。加えて、価格帯の低さやブランド力の弱さから、価値が十分に反映されていない構造が続いています。蔵元の減少や後継者不足も進み、産業全体として再編の必要性が高まっています。一方、日本酒業界ではすでに再編やM&Aの動きが進んでおり、海外展開や高付加価値化を背景に、ブランドを軸とした成長モデルが確立されつつあります。輸出額も約450億円規模に達しており、国内需要の縮小を補う形で成長を実現しています。これに対し、焼酎は輸出額が約16億円にとどまり、同様の構造転換がまだ進んでいない状況です。

■ 事業承継も含めた戦略を描く

 こうした業界構造を踏まえ、LINK SPIRITSは焼酎業界における再編の担い手を志向しています。後継者不在の蔵を承継しながら、商品開発やブランド設計、販路を掛け合わせることで価値を引き上げる構想です。単なる規模拡大ではなく、蔵の個性や歴史を活かした再構築を前提としている点に特徴があります。

LINK SPIRITSの商品

■ 焼酎の価値を再定義するプレーヤーである点に強み

 当社の強みは、焼酎を「どう売るか」ではなく「どう意味づけ直すか」に踏み込んでいる点にあります。創業者自身が感じた価値のギャップを出発点に、安価な日常酒という位置づけから、個性やストーリーを楽しむ嗜好品へと転換を図っています。そのため、ナイトシーンでの展開や海外市場への進出を、「作る」「伝える」「残す」を一体で設計している点が、他の酒類プレーヤーとは異なる競争力につながっています。

 


 
コメンテーターより
株式会社AGSコンサルティング 顧問 小原 靖明 氏
 

 貴社は若者向け新市場(ナイト系)から「音環」(木樽蒸留器で作る本格焼酎)まで、焼酎の企画・マーケティング・販売を一気通貫で行う焼酎の価値を再定義するプロデュース企業です。投資家の目線からすると、今後のブランディング戦略が非常に気になるところであり、縮小している焼酎市場において、プロダクト(商品選別)、チャネル(販売ルート)等を明確化するなど、ブランド構築を最優先に考えて欲しいところです。
 先行して世界に出た「日本酒」などのロールモデルもあり、参考になるかもしれません。

株式会社AGSコンサルティング 顧問 小原 靖明 氏

 
 
※「The INDEPENDENTS」2026年6月号 - P.9 掲載
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