<イベントレポート>

2025年12月8日 東京インデペンデンツ
@ TiB(Tokyo Innovation Base)
+ Zoom ウェビナー配信

■ イベント詳細 https://www.independents.jp/event/781

■ 目黒区議会 議長 鈴木まさし氏 ビデオメッセージ

  目黒区議会 議長 鈴木まさし氏私は目黒区議会議長として、グローバル・スタートアップ・キャンパス(GSC)が目黒に拠点を置くことに大きな意義を感じています。MITと連携した国の構想により、世界中から研究者や起業家が集い、雇用創出や国際化など、目黒のまちづくりに新たな可能性が生まれます。自治体として、その効果を地域にどう生かすかが重要だと考えています。また私は、長年ご縁のあるインデペンデンツクラブの会員として、スタートアップ支援の取り組みを間近で見てきました。今後は、インデペンデンツクラブを通じて育っていくスタートアップが、GSCを通じて世界に羽ばたいていくことを大いに期待しています。

  【鈴木まさし氏 略歴】
・青山学院大学経営学部卒業
・衛星放送、企業コンサル会社の役員
・目黒消防団第一分団 班長
・防災士、ペット災害危機管理士
・目黒区相撲連盟 顧問
・海洋少年団連盟目黒区団 顧問
・2015年度 目黒区議会議員選挙 初当選
・2019年度 2期目当選、2023年度3期目当選
 
現在の議会職等

・目黒区議会 議長
・23区自民党区議会議員連絡協議会 会長
・自民党目黒区議団・区民の会 幹事長
・施設更新・DX等調査特別委員会 委員長
・議会運営委員会 委員
・文教子ども委員会 委員

<特別セッション>

12月8日 東京インデペンデンツ 特別セッションの様子

【パネリスト(※写真左から)
・内閣官房 グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室 参事官 當間 重光 氏
・インデペンデンツクラブ 代表理事 松本 直人

■ グローバル・スタートアップ・キャンパス(GSC)構想

グローバル・スタートアップ・キャンパス構想(GSC)當間:GSC構想は、岸田政権下における日米協力の一環として立ち上げられたものです。日本政府としては、これまで様々なスタートアップ支援策を講じてきており一定の成果を上げていますが、ユニコーン企業、それ以上の規模へと成長するスタートアップの数などは、依然として限定的な状況です。

 米国などには、研究者や起業家、ベンチャーキャピタル(VC)などが高密度に集積し、相互に支援し合う強固なスタートアップ・エコシステムが存在していますが、日本にはこうした環境が十分に整っているとは言えません。こうした問題意識のもと、世界から人材・資金・技術が集まるグローバルなイノベーション・エコシステムのハブを構築することを目的として、本構想を進めています。

 GSCの拠点については、渋谷区と目黒区にまたがる国有地の活用を予定しています。単なる場所の提供にとどまらず、ディープテック分野における「研究」「事業化支援」「人材育成」といった支援を一体的に推進することで、エコシステムの基盤の創成、ひいては、世界市場で競争力を持つスタートアップの創出を目指しています。

■ GSC構想の実現に向けた三つの取組

當間:日本にイノベーション・エコシステムのハブを構築するというGSC構想の実現に向けて、政府では、三つの取組を行っています。

 一つ目は、GSCの運営法人の設立です。民間主体の機動性、柔軟性を活かしつつ、国が一定の関与を行う法人とする方向で検討を進めています。こうした体制のもとで、持続的かつ戦略的な運営を目指していきます。

 二つ目は、フラッグシップ拠点の整備です。まず世界各国の研究・イノベーション施設を調査しました。研究者や起業家等にとって利便性の良いものであること、偶発的な出会い、いわゆるセレンディピティが生まれるような空間、研究の変化に柔軟に対応できる可変性、世界中の人材を惹きつける日本らしさなどについても検討を進めています。フラッグシップ拠点は東京ですが、全国の拠点都市や様々な施設と連携するハブとしての役割を担っていきたいと考えています。

 拠点を整備するだけでは人材は集まりません。そこで、三つ目に、世界から優れた研究者や起業家を惹きつけるための先行的活動です。 

當間氏

■ 世界トップレベルの機関と連携する「先行的活動」

當間:GSCでは、法人の設立及び施設の開所を待つことなく、ソフト面の取組として「先行的活動」を開始しています。先行的活動は、3つのプログラムから構成されています。

 一つ目は、ディープテック分野における国際研究の推進です。AI、ロボティクス、気候変動、バイオテクノロジーなどの分野を対象に、事業化を見据えた研究を重視しています。

 二つ目は、研究成果の事業化支援です。国際研究からの成果に加え、国内の大学や研究機関に存在する有望な技術シーズを発掘し、グローバル市場を見据えた事業化を支援していきます。

 三つ目は、人材育成です。日本では、技術シーズを事業へと導く経営人材、いわゆるPhD-CEOが不足しているとの指摘に対応するものです。

 こうしたプログラム運営を担う機関について国際公募を行ったところ多数の応募があり、その中から実績を有する5つの運営支援法人グループを採択しました。契約締結後、順次プログラムを開始する予定です。

 採択された機関をいくつかご紹介しますと、国際研究では、DARPA(米国防高等研究計画局)等でのプログラム経験者を擁する「SRI International」や「Renaissance Philanthropy」が参画します。さらに、特にバイオ分野を想定していますが、マーク・ザッカーバーグ夫妻の慈善財団と連携する「Stellar Science Foundation」が選定されています。

 事業化支援では、スタンフォード大学関連で事業化支援に実績を持つ「StartX」が、日本法人を設立して参画します。また、マサチューセッツ工科大学(MIT)から生まれた「The Engine Ventures」などが支援を行います。

■ グローバル展開を巡る課題と今後の展望

松本:非常に強力な海外パートナーとの連携だと思いますが、その成果はどのように評価していくのでしょうか。

當間:海外パートナーからは、契約段階で成果指標を明確にすることが求められています。機関ごとに具体的かつ挑戦的なKPIを設定し、共にモデルを構築していく方針です。海外のノウハウを吸収しながら、日本に適した形へと発展していきたいと考えています。

松本:日本の有望な技術シーズが海外支援を受けることで、そのまま国外へ流出してしまうリスクについては、どのようにお考えでしょうか。

當間:この点については、政策的にも重要な課題だと認識しています。日本人研究者や起業家が海外で活躍することを前向きに評価すべき側面がある一方で、経済安全保障や国益の観点から考慮すべき側面もあります。技術のオープン・クローズ戦略や知的財産、研究インテグリティを含め、政府全体の経済安全保障上の重要技術に関する技術流出防止策の方針に沿う形で、日本独自のバランスを模索していく必要があると考えています。

内閣官房 グローバル・スタートアップ・キャンパス構想推進室 参事官 當間 重光 氏とインデペンデンツクラブ代表理事 松本 直人

※「THE INDEPENDENTS」2026年1月号 P.6-7 より
※ イベント開催時点での情報です