株式会社Kips 代表取締役 國本行彦   【國本 行彦】 
1960年8月21日生。
東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任(現副代表理事)
2020年6月 (株)ラクス社外取締役就任

 

 認定NPO法人インデペンデンツクラブは、第12期を迎えることができました。累計発表企業数は1,635社、累計開催数は628回に達し、その中から累計45社の株式上場企業が誕生、2025年度は7社新規上場を果たしました。さらに東証グロース市場だけでなく、TOKYO Pro MarketやNASDAQなど、多様な資本市場へ羽ばたく企業も増えています。

 第11期は全国30回のイベントを開催し、67社の起業家が事業計画を発表、参加者は1,911名となりました。前年と比較すると、イベント数や参加者数は減少しましたが、地方開催の意義はより鮮明になった一年でした。鹿児島、北海道、富山、長岡、福岡、南大阪・和歌山など全国各地で開催し、地域金融機関、大学、自治体、地方証券取引所との連携を深めることができました。特に南大阪・和歌山では初開催を実現し、地域発スタートアップへの関心の高まりを感じています。

 日本のIPO企業は依然として東京に集中していますが、地方にも数多くの可能性が眠っています。都道府県別上場会社数を見ると、東京2,136社に対し、福岡98社、広島47社、新潟40社、鹿児島11社など、地方にも独自の産業基盤を持つ地域が存在します。人口減少が進む中、地方から新たな産業と雇用を生み出すスタートアップの役割はますます重要になっています。

 最近、「なぜ地方で起業するのか」という議論が改めて注目されています。地方には、東京にはない社会課題、地域資源、人材ネットワークがあります。一次産業、医療、環境、観光、防災など、日本全体が抱える課題の最前線は地方にあります。だからこそ、地方発スタートアップには社会性と独自性があり、結果として大きな競争力につながります。インデペンデンツクラブが地方開催を重視してきた理由も、単なる地域振興ではなく、日本全体の産業競争力を高めるためです。

 また、インデペンデンツクラブの特徴は、単なるピッチイベントではなく、参加者全員による「事業性評価」にあります。成長性、収益性、社会性、国際性、出資関心をリアルタイムでフィードバックし、起業家に実践的な評価を届けています。専門家だけでなく、支援者や参加者との対話を通じて事業を磨き上げていく仕組みは、全国でも特徴的な取り組みです。

 一方で、第11期は財務面で厳しい一年でもありました。寄付収入や会費収入は減少し、当期正味財産増減額は△5,996千円となりました。しかしその中でも、高校生向け起業家支援「SuperStudentsProject(SSP)」を本格始動し、次世代アントレプレナー育成への投資を開始できたことは大きな成果です。

 第12期は、年間30回のイベント開催を継続し、東京12回、地方18回を予定しています。「個性溢れる起業家を発掘し、一人でも多くの人と一緒に、1社でも多くの公開会社を育てる」。この理念のもと、全国の挑戦者とともに、新しい日本経済の未来をつくっていきたいと考えています。
※「THE INDEPENDENTS」2026年6月号 - P.11 より