■ 産総研発ベンチャー

 当社は、産業技術総合研究所(AIST)発のスタートアップとして2020年に創業した、AIST Solutions認定第1号ベンチャーです。スペイン語で「毒」を意味する「Veneno」を社名に、自然界に存在する“毒の特性”を活かした高機能ペプチドを、医薬・農業・アニマルヘルス分野へ応用する独自技術の社会実装を目指しています。
Veneno Technologies株式会社の事業概要(背景とソリューション)

 

■ 自然由来のペプチド(DRP)プラットフォーム

 コアテクノロジーは、ジスルフィドリッチペプチド(DRP)技術です。DRPは複数のジスルフィド結合を持つ中分子ペプチドで、高い安定性と生理活性を併せ持ちます。Venenoは、DRPの設計・探索・製造を一気通貫で可能にする独自プラットフォーム「Veneno Suite」を保有し、従来は困難だった膜タンパク質標的(イオンチャネル、GPCR)にも高い選択性でアプローチできる点を強みとしています。

自然由来のペプチド(DRP)とはDRPとは

 

■ 創薬分野への展開

 創薬分野では、がんや自己免疫疾患などアンメットメディカルニーズの高い領域を中心に、製薬企業との共同研究および自社パイプライン開発を進めています。PERISS法による超大規模DRPライブラリからの高速スクリーニングと、Super Secrete法による低コスト量産技術により、探索から前臨床段階までの開発効率を大幅に高めています。

PERISS法

 

■ 農業分野での実用化

 農業分野では、化学合成農薬に代わる環境負荷の低いペプチド農薬の開発を推進しています。DRPは薬剤耐性害虫にも効果を示す可能性があり、持続可能な農業への貢献が期待されています。大学や農薬メーカーとの共同研究を通じて、実用化に向けた検証を進めています。

■ ビジネスモデル

 ビジネスモデルは、技術アクセスフィー、共同研究費、開発マイルストン収入、ライセンス料およびロイヤリティを組み合わせた成果連動型です。パートナー企業との提携による安定収益と、自社パイプライン導出による高収益化の両立を図っています。

■ 新経営体制でIPOを目指す

 創業者・吉川寿徳氏に代わり、2025年に久野孝稔氏が代表取締役に就任しました。久野氏は、茨城県庁で筑波研究学園都市のスタートアップ・産業政策(産学官連携)に携わった後、CYBERDYNE、武田薬品工業、湘南ヘルスイノベーションパーク設立、ノバルティスなど、官民・グローバル双方での豊富な事業化経験を有しています。現在はシリーズAでの資金調達を通じて研究開発と事業提携を加速させており、2029年のIPOを見据え、日本発のディープテック企業としてグローバル市場での成長を目指しています。

 


 
コメンテーターより
弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 井上 修一 氏
 

 DRPには、医薬、農薬、アニマルヘルス等様々な用途が想定されますが、それぞれの用途に適した効能を有するDRPを製造することは容易ではないものと推察されます。
 貴社の技術は、用途に適したDRPを短期間で多量に得ることを可能とするものであり、今後、非常に多くの領域から引き合いのある技術ではないかと感じました。
 知財を含めた事業戦略についても非常に明確なビジョンをお持ちのようでしたので、今後、日本国内にとどまらず、世界を舞台に活躍されることを確信しております。

弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 井上 修一 氏

 
 
※「The INDEPENDENTS」2026年1月号 - P.8 掲載
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