■ 鹿児島大学発・口腔ケアフードテックベンチャー

 当社は、鹿児島大学発ベンチャーとして、口腔ケア分野における長年の課題に向き合うフードテック企業です。歯ブラシによる口腔ケアは500年以上続く方法ですが、毛先の太さには限界があり、ミュータンス菌やプラークを完全に制御することは物理的に困難です。とりわけ、乳幼児、障がいのある方、高齢者など、自力での歯磨きが難しい人々にとっては、十分な口腔ケアが行き届かない状況が続いてきました。こうした背景を受け、「食べるだけで口腔ケアが完結する」という新しい発想から、口腔ケア機能を備えた低糖質スイーツ「ハミガキスイーツ®」を開発しました。歯磨きを嫌がる子どもや、介助が必要な方でも無理なく取り入れられる形にすることで、日常生活の中で自然に口腔環境を整えることを目指しています。
歯磨きスイーツの種類

■ 常在菌を尊重した、プラーク抑制というアプローチ

 技術的な特徴は、口腔内の細菌を一律に排除するのではなく、常在菌のバランスを保ちながら、プラークの形成のみを抑制する点にあります。ミュータンス菌を含む常在菌は、外部から侵入する有害菌に対する防御の役割も担っており、過度な殺菌は口腔環境の悪化を招く可能性があります。私どもでは、細菌が代謝できない希少糖などを用いた独自技術を開発し、バイオフィルムの形成を抑えることに成功しました。この技術は特許を取得しており、極めて低い濃度でも歯垢抑制効果が確認されています。

 さらに、医師や看護師を含む250名以上を対象としたモニター調査では、多くの参加者が口腔内の変化を実感しました。歯の表面が滑らかになった、口臭が軽減したといった声が寄せられ、約8割が効果を認識しています。誤嚥のリスクを抑えた形状であることから、ガムや錠剤が苦手な方でも摂取しやすく、完食率の高さと食べ忘れの少なさも確認されています。

■ 医療・福祉領域を起点とした事業展開

 まず高齢者施設、医療機関、保育・福祉施設といったB2B領域へのOEM供給を起点に事業を展開しています。口腔ケアが不十分なことによって生じる医療リスクを軽減し、現場の負担を下げることが主な目的です。

 将来的には、薬剤を包み込んで運ぶ素材としての応用や、災害時や医療現場で活用できるメディカルフードとしての展開も視野に入れています。口腔ケアという入口から、医療や生活の質全体を支える存在になることを目指し、段階的に事業領域を拡張していく計画です。現在、この取り組みに共感し、共に事業を育てていく企業、医療・福祉関係者、金融機関、投資家との連携を模索しています。

ハミガキスイーツの事業展開

 


 
コメンテーターより
弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 森下 梓 氏
 

 Alteonus社の提供する「歯磨きスイーツ」は、これまでのデンタルガム等の市場ではリーチできていなかった、乳幼児や誤嚥性肺炎リスクのある高齢者に明確なターゲットを定めた優れた商品です。

 大学の技術ライセンスに基づく事業となるため、大学や共同開発先とのライセンス契約には十分に留意して進めて頂きたいですが、その点をクリアできれば、やがては歯磨きの要らない世の中をもたらしてくれる、革新性のある企業であると思います。

弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 森下 梓 氏

 
 
※「The INDEPENDENTS」2026年1月号 - P.9 掲載
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