公益財団法人SAWADA FOUNDATION 事務局長 渡邉 拓斗 氏  

公益財団法人SAWADA FOUNDATION (澤田経営道場公式サイト)
事務局長
渡邉 拓斗 氏 Watanabe Takuto


旅行会社エイチ・アイ・エスにて店舗営業や訪日観光事業に従事。
2020年より起業家育成機関「澤田経営道場」事務局長着任。
知識や経験はなくとも高い志を持つ次世代起業家育成の場を運営。
 

インデペンデンツクラブ 代表理事 松本 直人 氏

 

 

インデペンデンツクラブ
代表理事
松本 直人 氏 Matsumoto Naoto

1980年3月23日生
大阪府立三国丘高校出身。神戸大学経済学部卒業
2002年フューチャーベンチャーキャピタル㈱入社
2016年1月同社代表取締役社長に就任
2022年7月㈱ABAKAM 設立、代表取締役就任(現任)
2023年3月㈱Kips 取締役就任
2024年9月インデペンデンツクラブ代表理事就任


若者の挑戦を支える“本物の起業家育成機関”とは

■ 澤田経営道場について

松本:本日はお時間いただきありがとうございます。まず、改めて「澤田経営道場」について概要をご説明いただけますか。

渡邉:はい。澤田経営道場は、公益財団法人SAWADA FUNDATIONが運営する起業家育成プログラムです。創設者はHIS創業者の澤田秀雄で、「未来の日本を担う若者を育成したい」という思いから2013年に前身の財団を立ち上げ、2017年に公益認定を受けました。

松本:なるほど。道場としては、どのような形で人材を育成されているのでしょうか。

渡邉:プログラムは2年間です。最初の半年は座学で、財務・マーケティング・経営戦略など約230コマを学びます。その後の1年間は企業に協力いただき、4ヶ月ずつ3社を回る実地研修、いわばインターンです。そして最後の半年で事業計画書の作成や資金調達などを経て、法人設立まで伴走します。

 

■ 「無料+生活費支給」という破格の支援

松本:道場の特徴といえば「参加費無料」と「生活費支給」ですよね。

渡邉:はい。こちらの2年間のプログラム参加費は無料で、さらに月額20〜30万円の生活費支給があります。ただしその分、退路を断ってプログラムに専念していただくことになります。

松本:そこまでの支援があるのは驚きです。逆に「本当に大丈夫なの?」と疑う人もいそうですよね。

渡邉:そうなんです。「怪しい」と思われることもあります(笑)。しかし我々は公益財団として健全に運営していますし、後から請求するようなことはありません。

 

■ 応募者は「若年化」。背景に“早く挑戦したい”意識

松本:参加される方の年齢やキャリアはどういう傾向がありますか?

渡邉:大きく2つ、24〜25歳中心の若手層と、30代半ばでキャリアを見直す層です。ただ近年は若い層が非常に増えています。「起業するなら早い方がいい」という価値観が広まっている影響もあると思います。

松本:確かに若いほど失敗しても傷が浅いし、再挑戦できますよね。

渡邉:おっしゃる通りです。2年間は“試行錯誤ができる期間”。思い切り挑戦してほしいと思っています。

 

■ 学歴不問、事業アイデア未定でも歓迎

松本:選考は厳しいのでしょうか?

渡邉:学歴や職歴は一切見ていません。重視しているのは「高い志」です。事業が固まっていなくても問題ありません。2年間で磨いていけばいいと考えています。

松本:なるほど。「本気で世の中を良くしたい」という動機を持つ人を選ぶわけですね。

渡邉:はい。ただ、もっと多くの応募者が集まれば、選考を通じてさらに志の高い人材を輩出できるとも感じています。

松本:参加者の居住地は東京が多いのでしょうか?

渡邉:一都三県の方が多いですが、九州や北海道など地方から来られる方も少なくありません。地方出身者には東京での住居をこちらで手配し、安価で住めるよう支援しています。

 

■ 道場から羽ばたく卒業生たち

松本:卒業生の活躍はいかがですか?

渡邉:初期の卒業生たちはフェーズが進んできていて、数億円規模の資金調達を行う企業も出ています。上場を目指す方もおり、コミュニティとしても研修の受け入れや、事業連携が活発化しています。

 

■ 若者の挑戦心をもう一度、日本に

松本:話を聞けば聞くほど、道場は “本物の起業家育成機関” だと感じます。

渡邉:ありがとうございます。創設者の澤田自身が創業した40年前より今は起業に挑戦しやすい環境だと感じる一方で、若者の安定志向が進んでいることに危機感を持っていました。「若者こそ挑戦を」との想いが澤田経営道場の原点です。

 

■ 最後に、挑戦者へメッセージ

松本:読者に向けてメッセージをお願いします。

渡邉:「やり方はわからないけれど、想いだけはある」という方にこそ来ていただきたいです。オンライン相談は随時受け付けていますし、約半年間のエントリー期間がありますので、ぜひ挑戦していただければと思います。


interviewed by kips 2025.11.14


※「THE INDEPENDENTS」2025年12月号 P.9より
※ 冊子掲載時点での情報です