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株式会社NERV (NERV | 未来を真剣に考える起業家、投資家プラットフォーム)
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インデペンデンツクラブ
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「NERVが挑むバイオ×起業支援
―神奈川から始まる医療イノベーション」
■ 医療領域での知見を活かし、起業家支援組織『NERV』を創設
松本:はじめに、NERV設立の経緯について教えてください。
久野:私はもともと茨城県庁の職員でしたが、31歳で筑波大学発ベンチャーのCYBERDYNE(サイバーダイン)に転職し、ロボットスーツ®『HAL』の市場開拓に取り組みました。その後、2018年には武田薬品工業で「湘南ヘルスイノベーションパーク(湘南アイパーク)」の立ち上げに携わり、再生医療、AI創薬、医療機器など、国内外190社以上が1カ所に集まりイノベーションを創出するエコシステム構築を推進しました。
湘南アイパークを通じて起業文化の醸成を目指していましたが、実際に起業へ挑戦する人の少なさに課題を感じたことが、NERV設立のきっかけです。
起業家をすぐにステージに上げるための「組織」を作ろうと考え、NERVを立ち上げました。ここでは、課題を抱える起業家に対し、参加者同士がアイデアを出し合うメンタリング活動も行っています。この活動は毎月1回、有志が土曜の朝に集まり、NERV開業以来すでに3年以上続いています。今年からは神奈川県庁と連携して、このプラットフォームを神奈川全域で活用しようと考えています。
■ 医療機器分野での起業支援と本格収益化への転換
松本:本格的な収益化を目指されたのは、いつ頃からでしょうか?
久野:2024年6月、シミックホールディングスを退職したのを機に本格始動しました。その後、約半年間集中的に活動し、複数の案件を獲得することができました。2025年1月からは大手コンサルファームにも所属し、大企業向けコンサルティングも並行して行っています。
松本:スタートアップから日本進出を目指す海外企業まで、幅広い支援をされているのですね。
久野:おっしゃる通りです。中でも、私の専門領域である医療機器開発に特化した支援を強化しています。医療機器は、市場規模やニーズが比較的明確であり、形になれば資金調達もスムーズです。医薬品に比べて市場参入の確実性が高い点も特徴です。現在は、医療機器ベンチャー支援のための新たな組織立ち上げにも着手しており、スポンサー企業の取りまとめも進めています。
■ 実装支援とグローバル展開を見据えた今後の活動
松本:今後、NERVとしてどのような活動を展開していく予定ですか?
久野:新しいビジネスの「実装支援」に重点を置いて取り組んでいく方針です。単なる外部コンサルタントではなく、必要に応じて内部に入り込み、事業推進の実働部隊としても関わっていきます。現在も、つくば発の創薬系ベンチャー1社に内部メンバーとして参画しており、同社はペプチドを活用した創薬技術で、将来的なユニコーン企業を目指しています。
松本:活動を通じて、特に意識していることはありますか?
久野:常に「インパクトを出す」ことを意識しています。地域に根差した活動も重要ですが、自身の経験や強みを活かせる領域で、確かな成果を上げて未来を創造することにこだわっています。その一環として、海外企業との橋渡し役となる「グローバルブリッジコンサルタント」としての機能を強化し、日本の起業家に多くのチャンスをもたらす活動に注力していく予定です。
■ インデペンデンツクラブへの期待
松本:最後に、インペンデンツクラブへの期待をお聞かせください。
久野:インデペンデンツクラブには、さまざまなスキルや経験を持つ方が集まっています。その情報が可視化され、起業家が自分に合った支援者と出会える仕組みがあれば、より価値の高い場になると期待しています。また、起業家自身がメンターを選べる「メンター制度」の導入も検討していただけると、さらに実践的かつ魅力的な場になるのではないでしょうか。
interviewed by kips 2025.5.1
※「THE INDEPENDENTS」2025年6月号 P.12より
※ 冊子掲載時点での情報です