<イベントレポート>
2025年4月18日 鹿児島インデペンデンツ
@ かごゆいテラス
+ Zoom ウェビナー配信
■ イベント詳細 https://www.independents.jp/event/761
特別セッション『鹿児島のスタートアップ支援』
地域とともに育てるスタートアップ支援の最前線
~鹿児島から新しい価値を創出する挑戦~
鹿児島インデペンデンツにて開催されたパネルディスカッションでは、県内外の多様なプレーヤーが登壇し、鹿児島におけるスタートアップ支援の現状と未来について意見を交わしました。
写真(左から):中垣氏、北村氏、家村氏、石塚氏
地方から未来を創る-チェンジ鹿児島・中垣雄氏の挑戦
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(株)チェンジ鹿児島 |
私はこれまで銀行や証券会社で法人営業やIPOの引受業務に携わり、その後、株式会社ジェナの取締役などを経て、2019年に株式会社ビーキャップを創業しました。ビーキャップの株式を株式会社チェンジに譲渡した後、2022年に鹿児島へ移住し、株式会社チェンジ鹿児島を設立しました。現在、当社が注力しているのが、地方創生ファンドである「かごしまスタートアップ支援ファンド」の運営です。このファンドは、鹿児島県内の企業を中心に投資を行っており、今後も合理的な判断に基づき、鹿児島で成長を目指す企業を支援していきたいと考えています。
産官学連携で地域活性化-鹿児島のスタートアップ支援
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鹿児島県 |
私たちは、鹿児島県におけるスタートアップ支援および新産業の創出に取り組んでいます。現在の鹿児島が直面している課題には、産学官金が一体となった起業支援体制の不十分さ、スタートアップのロールモデルの不足、資金調達手段の確保の困難さなどがあります。こうした課題に対処するため、産学官金の各機関との連携強化を図る協議会の設置や県庁18階のコワーキングスペース「かごゆいテラス」の運営、アントレプレナーシップ教育の推進、社会実装支援、ビジネスプランコンテストの開催、資金調達支援など、さまざまな施策を展開しています。
Fukuoka PRO Marketで企業支援を加速-福岡証券取引所の新戦略
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証券会員制法人福岡証券取引所 |
福岡証券取引所は、2024年12月に「Fukuoka PRO Market」を新設しました。同市場は成長途中の企業が本則市場やQ-Boardへの上場を目指すための足がかりとして機能しています。また、Q-Board市場は、東証グロースに比べ形式基準が緩やかであることが特徴です。福証では、上場前の支援として「IPO挑戦隊」などを実施しています。加えて、上場後も企業交流会や個人投資家向けのIRイベントを通じた支援が充実しています。また、「九州中小・ベンチャー企業IPO支援プロジェクト(QSP)」など、地域密着型の支援プロジェクトも推進中です。
学術×起業で地域経済を変える-鹿児島大学の構想
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国立大学法人鹿児島大学 |
南九州・南西諸島域イノベーションセンターは、研究成果を基盤とした事業化の支援や、学生を含む多様な層への起業家教育を通じて、地域のイノベーションと経済活性化を担っています。具体的な取り組みとしては、ビジネスプラン・ピッチコンテストの実施、NEDOとの「起業家支援に係る相互協力連携協定」に基づく活動、オール九州による研究成果のスタートアップ枠組みへの参画などがあります。加えて、学内での起業促進を図り、現在は13社の鹿児島大学認定ベンチャーを支援しています。
鹿児島発スタートアップの特徴とアントレプレナーシップ教育
中垣氏:地方である鹿児島のスタートアップと、東京のスタートアップとでは認識に差があるように感じます。鹿児島におけるスタートアップの特徴について教えてください。
北村氏:鹿児島は一次産品に強みがあり、それを活かしたビジネス展開を行う企業が多く見られます。経済産業省の「100億円企業宣言」に該当するようなスタートアップを育てるには、まず売上高10億円規模を目指すプレイヤーを増やすことが重要です。そのため、ユニコーンやIPOを目指す企業に限らず、一次産品に付加価値を加えて販売する企業や最新技術を開発する企業など、幅広く地域に貢献する企業の支援に力を入れています。
中垣氏:鹿児島大学では、起業家を増やすためにどのような取り組みをされていますか。
石塚氏:起業を目指す教員への支援や、事業化が可能な研究成果(シーズ)の社会実装を推進しています。学生向けにはアントレプレナーシップ教育の充実を図っており、起業に関する講義の中には、もともと教員が自身の授業の中で起業家精神を育む内容を取り入れていたものもあります。実際に、これらの講義を受けて起業を志し、現在は博士課程に在籍しながら事業化を目指している学生もいます。
中垣氏:鹿児島の支援機関が充実し、挑戦を後押ししていることを改めて実感しました。現在、鹿児島には起業プレイヤーが少ないという課題がありますが、それは起業を目指す方にとっては、ライバルが少なく支援を受けやすいという大きなチャンスでもあります。今後、鹿児島から多くの起業家が生まれることを期待しています。
※「THE INDEPENDENTS」2025年6月号 P.4-5 より
※ イベント開催時点での情報です