アイキャッチ

「愛三岐製造業の新規事業創出」

 <イベントレポート>
名古屋インデペンデンツクラブ(3/15 開催@なごのキャンパス)

 

■パネリスト

 

ピノベーション株式会社 代表取締役 鳥羽 伸嘉 氏

生年月日:1981年5月26日 出身高校:愛知県立小牧高校
カリフォルニア州立大学サンディエゴ校を卒業後、製品設計会社にて自動車や白物家電を設計。その後、ものづくり商社で国内はもとより海外、特に中国で多くの製品プロジェクトに携わる。2016年当社設立、代表取締役CEO就任。2019年3月グロービス経営大学院修了(MBA)。
 

株式会社AGSコンサルティング 顧問 / 株式会社Kips 顧問 小原 靖明 氏

1989年 AGSグループ入社。
2000年 IPO支援会社ベックワンソリューション代表取締役。
2007年 合併に伴い、当社取締役就任
2014年 専務取締役に就任(2021年4月より現職)
2021年 株式会社Kips 取締役就任/2023年 同顧問就任事業創造大学院大学 教授


【特別セッション】
「愛三岐製造業の新規事業創出」

小原:インデペンデンツ月例会でプレゼンいただいた出向起業制度が愛三岐の製造業でも活用できるのかについて、ピノベーションの鳥羽代表にお越しいただき議論したいと思います。

「出向起業」とは大企業にとっては市場規模が小さくて新規事業としては育てにくい事業について、その大企業の社員が辞職せずに資金調達や個人資産の投下を経て、起業したスタートアップに自ら出向等を通じて新規事業を興す事を促す制度です。大企業が保有する知財や資産をそのまま活用することができ、事業が上手くいかなかった場合にも社員としての身分が保証され起業がしやすくなります。

鳥羽:スピンアウトする起業家の課題は「意識」です。独立系スタートアップと比較した時に大企業社員のモチベーション醸成が課題となります。大企業の社員は優秀な方が多いですが、個別最適化された仕事から新規事業を行うこと、会社から言われて新規事業を始めることが原因だと考えられます。

小原:新規事業を始める起点となった社員に、周りの社員が付いていくという環境整備がなされていないことも課題です。一例として最初一人で起業しチームになるまで2年掛かった企業がありました。この際にも最初からチームで動けていればスピード感は変わっていたと思います。チームワークが一般化されていないことが問題だと考えています。

 

小原:中部東海地域においては製造業が盛んですが、IT企業に比べて製造業は起業のハードルが高いと考えられます。ピノベーション鳥羽代表は中部東海地区における新規事業取り組みについてどう感じていますか?

鳥羽:私どもは製造業に特化した新規事業創出サービス「アウトレ」を提供しています。新規事業に関わる進捗管理アプリ提供から人材育成、メンタリングまで行っており、中小企業から大企業に「アウトレ」が導入されてきています。中部東海地域の自動車産業を考えると、新規事業に最も力を入れているのはTier1と呼ばれるサプライヤーです。ギガキャストなど製造法の進化や自動車のスマート化等によって、従来の製造工場の需要が減り、生き残りのために新規事業開発の必要性が増しています。

 

小原:大企業にとって「出向起業は経営人材を育てること」や「イメージアップ」などの利点があります。特に社員の成長を適切に評価することで大企業の中に新しい発想を生み出す空気を作ることができます。

鳥羽:「アウトレ」で新規事業を行っている企業も実際に人材採用や既存事業にも好影響があったという声を聞きます。中小企業は人手不足で新卒採用が難しいという課題がありますが、新規事業を行うことで会社が今後の成長・持続を示す事で新卒採用に成功した事例があります。また新規事業で新しい顧客にどう価値を提供するかを考え出すことで、既存顧客に対してもより良い価値提供を行おうという社風の変化にも繋がります。

小原:そのような新しいものづくりを考える人材が活躍することでより新規事業への取り組みが活発化されていく事を期待します。

 

※「THE INDEPENDENTS」2024年4月号 P.8より
※ 冊子掲載時点での情報です

ピノベーション株式会社

住所
愛知県名古屋市西区那古野2-14-1なごのキャンパス2-11
代表者
代表取締役 鳥羽 伸嘉
設立
2016年10月6日
資本金
20,000千円
従業員数
事業内容
中小製造業向け金型IoTソリューションの開発販売
URL
https://www.pinnovation.co.jp/