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「ソーシャルベンチャーの事業戦略」

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株式会社ナノ・アソシエイツ
代表取締役 浅 雄一さん

1977年生まれ、茨城県出身。全国様々な市町村で、まちづくりや地域づくりの企画、県の活性化事業、廃校・空家・遊休施設・耕作放棄地の再生利活用、ストリート・商店街の活性化、保育園やレストランのブランディング、関東ツーリズム大学の設立など多くの企画・開発・活動に関わる。NPO法人遊楽副理事長、NPO法人えがおつなげて理事、NPO法人創造の森理事、土地家屋調査士事務所代表も務める。

住所:東京都港区南青山2-19-5 関原ビル201
TEL:03-5772-6466 設立:2005年3月3日 資本金:5,000千円
http://www.nano-associates.com/

5月の日曜日、六本木のイタリアンレストラン「チャオベッラ」で開かれた第8回「東京ローカルレストランプロジェクト」のライブに行ってきました。今回のディナーの地域に選ばれたのは「熊本県」。産地より素敵な食材たちがやってきて、たった1日だけ、1回だけの彩りゆたかな味のコースに仕上がりました。日本の美しい四季・様々な風土・育まれた歴史、そして生産者とシェフの想いなど、舌と 目と 鼻と 耳と 純粋な心で お皿の向こうに広がる景色まで残さず味わってきました。

? 多方面の方々が参加されて大盛況でした
浅:「東京ローカルレストラン」は月1回開催される店舗を持たないレストランです。日本全国から選ばれた地域の食材を使って東京のカリスマシェフが腕を振るい「新郷土料理」を創作します。昨年9月からスタートしました。今月は島根(ランチ)、熊本(ディナー)のそれぞれの地域の食材と、自然な料理を大切にするシェフ「島田伸幸」さんとコラボしました。

? コンセプトを教えて下さい
浅:1つ目は「みつけるレストラン」です。北海道から沖縄まで、まだまだ消費者の知らない食材が沢山あります。まず地域の埋もれた食材を見つけることから始めようという考えです。2つ目は「店舗のないレストラン」。毎月、東京の有名シェフのレストランをお借りして開催します。3つ目は「体感するレストラン」。まず料理される前に食材そのものを試食していただきます。そしてそれがどのような料理になるのかを楽しみながら体感していただきます。4つ目は「伝えるレストラン」。お皿の向こう側、つまりその食材がここへたどり着くまでを伝えるレストランです。生産者の人から食材はもちろん地域の自然環境なども映像を交えて語っていただきます。5つ目は「いつか無くなるレストラン」。様々な食材やその成り立ち、農家や漁師の様子を伝え終わるとそこで消えてしまうレストランです。

? プロジェクトの目的は何ですか
浅:食を通じたメッセージを世の中に発信することです。料理されたものについて語る雑誌やメディアは山ほどあるのに、その食材やお皿のむこう側の地域を語るメディアはありません。ひょっとしたらこれがきっかけで消費者が自分の健康に気をつけるかもしれません。それが農業や漁業や地域の活性化につながるかもしれない。つまりは私達のプロジェクトがきっかけで社会が変わる、そういう風に考えています。

? どのようにして収益を上げるのですか
浅:主に大手スポンサーからの収益です。実は、このプロジェクトは直接的な収益を狙っていません。このプロジェクトを運営することで派生する側面的なビジネス、例えば飲食店デザインや、地域活性のコンサルなどと、将来的なビジネスにつながる、だれも持っていない知的財産を得ることが大きな狙いです。

? そもそものきっかけを教えてください
浅:全国の行政の方から「地域活性をどのようにしたらいいのか」という相談を受ける中で、どの地域にも共通していることは“食”だと気づきました。ほとんどの地域が農業から栄えてきて現在に至っています。食はいつの時代にも変わらない人間の本質的な欲求が関わっています。“食”を切り口にまちづくりをしたら面白いのではないかと思いました。実際に全国をリサーチしてみて、実に日本はこんなにも多くの種類の食材を作っているのだ、と驚きました。それを東京の一流シェフが料理すれば面白いだろうなという単純な発想から始まりました。

※全文は「THE INDEPENDENTS」2009年6月号にてご覧いただけます