温泉を世界のヘルスケアへ
別府で温泉を「科学」に変える
日本では年間延べ1.3億人が温泉を利用する一方、温泉選びは知名度や口コミに頼ることが多く、泉質や自分との相性は十分に活用されていません。そこで開発したのが、温泉マッチングアプリ「おんピタ」です。体質・体調・目的を分析し、AIが最適な泉質や施設を提案。入浴前後の状態も記録することで、利用者が増えるほどデータが蓄積されていきます。

蓄積するほど強くなる「温泉データ」
競争優位性は、全国の温泉分析書、血圧・自律神経バランス等の実計測データ、「おんピタ」から蓄積されるUGCという3つのデータ基盤です。温泉分析データは自治体ごとに分散しており、全国を横断した民間データベースはほとんどありません。これまで蓄積してきたデータは、容易には追随できない資産です。利用者と対象施設が増えるほどデータが蓄積され、マッチング精度とデータ価値が高まる循環が競争力となります。

既存事業から10億円のプラットフォームへ
同社は、シェアハウス「湯治ぐらし」、リトリート宿泊施設「七日一巡り」、自治体等からの調査受託など、すでに収益を生む事業を展開しています。これらは収益源であると同時に、利用者との接点や温泉データを獲得する実証フィールドでもあります。
次の成長の柱となる「おんピタ」は、B2C、B2B/B2G、データ事業の3方向から収益化します。個人向け有料会員にAIレコメンドやヘルスダッシュボードを提供するほか、温泉施設・自治体には分析、広告、送客、ECなどを提供。さらに蓄積データを企業との共同研究や商品・サービス開発につなげます。5年以内に有料会員15万人、法人240施設、売上10億円超を目標としています。
今後は全国の温泉データ取得、実計測体制の拡充、「おんピタ」の機能開発などに成長資金を投入します。今回のシードラウンドでは3,000万円の調達を計画していますが、全国規模のデータプラットフォーム構築に向け、成長段階に応じた継続的な資金調達と事業会社との連携も重要になります。
温泉を「観光」からヘルスケア産業へ
温泉地の衰退という地域課題と、健康寿命を延ばすという社会課題。その双方をビジネスでつなぐことが同社の目指す姿です。別府で蓄積した「場」と「データ」を全国へ広げ、将来はウェアラブル、食品、衣料、住宅などにも温泉データの活用領域を拡張する構想です。
長寿国・日本が育んできた温泉文化を、観光だけでなくパーソナルウェルネスへ。そして「おんピタ」を基盤に、日本独自の温泉という資産を世界のヘルスケアへつなげていきます。
コメンテーターより

弁護士法人内田・鮫島法律事務所
弁護士 高玉 峻介 氏
湯治ぐらし様が開発する温泉マッチングアプリ「おんピタ」についてご説明いただきました。日本人の多くは、皆うっすらと温泉が好きで、温泉に入ること自体を目的に旅行を決定することもあると思います。このように「温泉」に着目して旅先を決定しようとするときに、「おんピタ」がユーザーにとってひときわ有望な選択肢になってきそうです。今後、データがさらに蓄積され、ユーザーにとってより高い価値を提供できるアプリになることを楽しみにしています。
※「The INDEPENDENTS」2026年10月号 - P.9 掲載
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