地方スタートアップを支える成長インフラ
<イベントレポート>
2026年9月11日 東京インデペンデンツ
@ Tokyo Innovation Base (TiB) Tokyo Innovation Base (TIB)
+ Zoom ウェビナー配信
(パネリスト)

監査法人アヴァンティア
企業価値向上支援室長 梶原 大輔 氏

インデペンデンツクラブ
代表理事 松本 直人
地方企業に広がるTPMという選択肢
2026年9月7日までのプロマーケット上場35社のうち21社が地方企業である一方、一般市場では22社中5社にとどまりました。8月に上場した札幌のインターパークは、公募増資や売出しを行わず、まず上場会社としての信用力向上を目的に東証TPMと札証SPFMを選択しました。TPMは必ずしもEXITではなく、一般市場へのステップアップや、今後の資金調達、株式流動性の向上につながる入口としての役割が期待されます。

地方に不足する上場支援インフラ
一方、地方企業がIPOやTPMを目指す際には、監査法人や証券会社、専門人材など、上場準備を支えるインフラに地域差があります。特に四国などではIPO対応に積極的な監査法人が限られ、企業側の選択肢が少ないという実情があります。監査法人アヴァンティア梶原氏は、松山拠点の開設発表後、高知や香川の企業から監査に関する問い合わせが寄せられたと紹介しました。
地方ではスタートアップを「生み出す」支援は増えてきましたが、その企業を資本市場までつなぐ支援体制には、なお地域差があります。

写真(左から):監査法人アヴァンティア 梶原氏、インデペンデンツクラブ 松本
上場準備を「企業価値向上」のプロセスに
梶原氏は、TPMであっても会計数値や開示資料を整える基本姿勢は一般市場と変わらないと説明しました。上場準備は単なる審査対応ではなく、会計、ガバナンス、労務、事業計画などを見直し、企業としての基盤を整えるプロセスでもあります。
そこでインデペンデンツクラブの松本代表が挙げたのが、IPOとM&Aを並行して検討する「デュアルトラック」です。資金調達の段階からIPOだけに出口を限定せず、M&Aも含めて複数の選択肢を持つ考え方です。梶原氏は、N-3、N-4の段階から管理体制を整えておけば、IPOだけでなくM&A時のDDやPMIにもつながると指摘しました。実際に、東証との面談直前にM&Aへ切り替えた企業もあったといいます。
地域に根を張り、外とつながる
別府の湯治ぐらし株式会社・菅野静氏は、地方と東京では事業計画に対する見方や反応に違いがあると語りました。地方に拠点を置きながら、東京や大阪で投資家、顧客、専門家の視点を取り入れることが、事業を磨く機会になります。


写真(左から):湯治ぐらし 菅野氏、カギノワ 吉川氏、スポスル 尾濱氏
地域に根を張りながら、TPMを含む資本市場と接続し、上場準備を企業価値向上のプロセスとして活用する。そのうえでIPO、M&A、一般市場へのステップアップなど複数の選択肢を持つことが、地方スタートアップの新たなトレンドになると思われます。
※「THE INDEPENDENTS」2026年10月号 P.8 より
※ イベント開催時点での情報です