■ 特許AIでR&D現場の意思決定を支援

 「知財の民主化で、研究開発の意思決定を変える」を掲げ、R&D部門向け特許AIプラットフォーム「MyTokkyo.Ai」を展開するスタートアップです。研究開発現場における特許調査や技術判断をAIで支援し、日本企業の無形資産活用を加速させています。
R&D部門特化型特許AIプラットフォーム「MyTokkyo.Ai」

■ 独自のビッグデータ処理技術から生まれた特許AI

 当社は2021年3月にAOSグループからのスピンオフにより設立されました。1995年に創業したAOSテクノロジーズ社の代表の佐々木隆仁氏は、大手PCメーカーでの開発経験を経て同社を設立し、警察・検察向けのデジタルフォレンジック(電子証拠解析)技術を提供してきました。大量データから必要な情報を抽出する独自技術を培ってきたことが、現在のAI開発の基盤となっています。
 代表取締役CEOの平井智之氏も、法律分野を学ぶ中でデジタル証拠解析技術に触れ、リーガルテック領域に参入しました。その後、企業のビッグデータ解析技術を特許領域へ応用し、特許特化AI「MyTokkyo.Ai」の開発へとつなげています。

■  大企業の研究開発部門を主要ターゲットに

 主なターゲットは、大企業の研究開発(R&D)部門です。特に、電機・電子、素材、化学、製薬、IT、製造業など、研究開発活動が活発な企業での導入が進んでいます。当社の「MyTokkyo.Ai」は、研究者や技術者自身が簡単に特許調査を行える点が特徴です。研究メモやアイデアを入力するだけで、類似特許や競合技術、リスク分析などをAIが短時間で提示します。これにより、研究を継続するかの判断や、新規技術開発の方向性検討をスピーディーに進めることができます。

■  汎用生成AIとは異なる“専門特化型AI”

 近年はChatGPTなど汎用生成AIの活用が広がっていますが、当社では「専門性」「再現性」「セキュリティ」を重視しています。当社のAIは特許データベースと直接連携しており、検索式を保持しながら同じ入力に対して同じ結果を返せる仕組みを採用しています。また、回答根拠を明示できるため、研究開発や知財判断の現場でも安心して利用できます。さらに、独自のデータ処理技術を活用することで、大量の特許データを高速かつ低コストで解析しています。一般的な生成AIをそのまま利用すると高額なトークンコストが発生する一方、独自技術によって月額定額での提供を実現しています。
汎用生成AIとの違い

■  技術者から支持を集めるプロダクト

 2023年9月のサービス開始以降、導入企業は急速に増加しています。現在は500以上の利用実績があり、利用者の6割以上を知財専門家ではなく技術者が占めています。最大70%の作業時間削減効果も確認されており、研究開発現場での実用性が高く評価されています。今後は、特許AIに加えて、研究ノウハウ活用基盤「IPGenius」や知財共有基盤「VDR」なども展開し、企業の知的資産活用を支える総合インフラ企業を目指しています。

 


 
コメンテーターより
弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 稲垣 紀穂 氏
 

 リーガルテックは、生成AIを搭載した特許支援ツール「My Tokkyo.Ai」の提供を通じて「知財の民主化」の実現を目指します。
 特許文献は、技術分野毎に記載要領等が異なり得るため、研究開発を進める上で複数の専門家をアサインしなければならないこともしばしばです。しかし、リーガルテックのツールは、学習用データを選別することで技術分野を問わず高いクオリティの回答を生成可能と伺い、AIの強みを感じました。同社のツールにより、研究者の方々にとって知財がより身近になることを期待します。

弁護士法人内田・鮫島法律事務所 弁護士 稲垣 紀穂 氏

 
※「The INDEPENDENTS」2026年6月号 - P.9 掲載
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