<イベントレポート>
2025年9月5日 静岡インデペンデンツ
@ Zoom ウェビナー配信 ※悪天候のため会場での開催は中止となりました。
■ イベント詳細 https://www.independents.jp/event/773
<特別セッション> |
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(パネリスト) 静岡市 経済局 商工部 産業政策課 スタートアップ支援係 係長 田中 渉 氏 |
静岡ベンチャースタートアップ協会(SVSA)理事 EXPACT株式会社 代表取締役CEO 髙地 耕平 氏 |
(モデレーター) インデペンデンツクラブ 代表理事 松本 直人 氏 |
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■ スタートアップ支援の取り組み
松本:静岡市におけるスタートアップ支援の取り組みについて、まず現状からご紹介いただけますか。
田中:静岡市では、市長のリーダーシップのもとスタートアップ・エコシステムの構築を重要政策に位置付けています。補助制度などに加え、行政、地域企業との共創や投資を通じ、静岡発のスタートアップが全国・世界で活躍できる基盤づくりを進めています。
松本:特に印象的なのが「UNITE」や「BRIDGE」ですね。
田中:はい。これらは行政や地域企業の課題を提示し、スタートアップから解決策を募るコンテストです。昨年度は全国から約300件の応募があり、10件を採択して実証支援を行いました。太陽光発電の余剰電力を活用したバッテリーシェアリングや、茶畑を生かした持続可能なツーリズムなどが実際に事業化へ進んでいます。
松本:市内外から幅広い応募があるのは注目すべき点ですね。
田中:その通りです。専門機関への委託も活用しながら広く募集しています。また、市内企業に対しては「オープンイノベーション・プログラム」や、事業承継後の「アトツギベンチャー・プログラム」を用意し、地域企業とスタートアップ双方が成長できる仕組みを構築しています。
■ 静岡市のコインベスト制度
松本:次に、市独自の「コインベスト制度」について教えてください。
田中:これは市がスタートアップ等に直接出資する制度です。単なる補助金ではなく、出資により中長期的に伴走するのが狙いで、昨年度はGX分野で2社に投資しました。出資上限は3000万円、民間投資家との共同出資も可能です。
松本:自治体が株式を保有するのは画期的ですね。
田中:全国的にも例は少ないですが、短期的な補助ではなく、出資先と共に社会課題解決に取り組むために有効だと考えています。投資回収についても期限を定めず、普通株式で柔軟に対応しています。
■ 課題と展望
松本:最後に、今後の課題と展望についてお聞かせください。
田中:最大の課題は「スタートアップの地域定着」です。地域での活動や成長の機会の提供や人材確保といった「地域にいる理由」を整えることが必要です。そのため実証や投資を単発で終わらせず、成果を積み重ね横展開できる成功事例を増やしていきます。まだ事業が本格化して2年目ですが、今後も民間との連携を強化し、静岡市のスタートアップ政策をさらに進化させたいと考えています。
松本:行政・企業・スタートアップが三位一体で進める点は静岡市ならではですね。県全体の支援やコクリエーションスペースの整備も追い風になると思います。本日はありがとうございました。
※「THE INDEPENDENTS」2025年10月号 P.9 より
※ イベント開催時点での情報です