■ 2024年度省エネ大賞受賞のIoT電力センサ

 当社は「センサ技術で世界を変える」という理念のもと、2015年に大阪公立大学(旧・大阪市立大学)の研究成果をもとに創業された大学発ベンチャー企業です。2024年度省エネ大賞(後援:経済産業省)電気需要最適化分野にて資源エネルギー庁長官賞を受賞するなど、当社のIoT電力センサは、製造業を中心に脱炭素化とデジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を支援しています。

 SIRCの中核技術である「SIRCデバイス」は、約5mm×4.4mmという超小型サイズのセンサチップでありながら、電流計測、角度計測、電力計測、周波数抽出という4つの機能を1つのデバイスで実現するマルチタスクデバイスです。この技術は国内外で15件以上の特許を取得しており、オンプレミス型のIoTシステムからクラウドサービスまで、幅広いソリューションの土台となっています。

■ 既設の設備に「小型」「工事レス」で容易にアドオン

 主力製品であるIoT電力センサユニットは、従来のように取り付けに工事や停電を伴うことなく、わずか15秒で設置が可能です。既存設備に後付けできるこのセンサは、稼働中の生産ラインにも影響を与えることなく導入でき、電力の可視化とデータ取得を革新的に簡略化します。この利便性の高さは、製造業の現場において、省エネのための効果的な取り組みを迅速かつ継続的に進めることを可能にしています。実際に、IoT電力センサの導入によって、お昼休憩や夜間、休日の不要な稼働を削減することで、年間数百万円規模の電力コスト削減が可能です。また、力率の計測機能を活用することで、ヒーターの断線やフィルターの目詰まりといった設備異常を早期に検出し、品質管理や生産効率の向上にも寄与しています。こうした実績が評価され、私たちのソリューションは単なる省エネツールにとどまらず、製造業の包括的なDX推進ツールとして高い支持を集めています。
IoT電力センサユニット商品紹介

■ 脱炭素DXソリューション(SIRCクラウド)

 SIRCクラウドでは、電力データのリアルタイム監視、分析、異常通知、CO₂排出量の算出など、多彩な機能を提供しており、ユーザーは現場の状況に即した具体的なアクションをデータに基づいて実施することが可能です。カーボンニュートラルの実現に向け、Scope3対応やサプライチェーン全体のGHG排出量管理など、環境経営の要請にも対応したソリューションの実証・開発も進めています。

■ 持続可能な脱炭素社会の実現に向けて

 現在、脱炭素DX市場、アナログ・スマート保安DX市場、インフラ・製造DX市場という3つの成長分野を中心に事業を展開しています。今後は、インフラ老朽化対策や無収水検知、設備の異常予知といった新たな分野へも展開を進め、北米・欧州・アジアを含む海外市場への進出を視野に入れています。

 SIRCはこれからも、持続可能な社会の実現に向けて、革新的なセンシング技術とデジタル技術を融合したIoTソリューションを通じて、世界中の産業と社会に価値を提供し続けていきます。

 

 
コメンテーターより
弁護士法人 内田・鮫島法律事務所 弁護士 高橋 正憲 氏
 

 株式会社SIRCは、脱炭素分野を遂行する製造業をターゲットとして、非接触電力センサーを利用した消費電力計測、及びこれをクラウドにおいて管理するSIRCクラウドをサービスとして提供する。同事業戦略を遂行する上では、センサーである物の知財権の確保、及び、センサーから吸い上げたデータの利活用が知財戦略として重要であるが、同社は、前者については複数の視点からの特許化を完了し、後者については、契約について対処している。知財戦略備を、事業の成長を目指す同社の今後の発展に期待したい。

弁護士法人 内田・鮫島法律事務所 弁護士 高橋 正憲 氏

 
※「The INDEPENDENTS」2025年9月号 - P.13 掲載
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