テニススクールのDXを支える
会員管理SaaS
「ハイタッチ」

株式会社LAWN
代表取締役社長
佐々木 健人 氏

株式会社LAWN 代表取締役社長 佐々木 健人 氏

■南海電鉄発の社内ベンチャー:テニスとITで挑む新規事業

 株式会社LAWNは、南海電鉄の新規事業開発プログラムから誕生した社内ベンチャー企業として、2021年に設立されました。創業者の佐々木氏は、自身のテニス経験とIT分野への関心をもとに、テニススクール運営に特化した会員管理システム「ハイタッチ」の企画・開発に着手しました。
テニススクール専用会員管理アプリ「ハイタッチ」

■ 業界の“紙文化”に切り込む

 初期には、テニスコート予約サービス「テニスグ!」を展開し、関西地域で一定のシェアを獲得。しかし、公営施設との契約獲得の難しさや、他地域における競合の出現などを背景に、全国展開には至りませんでした。
 その後、紙媒体や旧式のPCを活用して管理を行うテニススクールが多数存在するという業界課題に注目し、「ハイタッチ」の開発を本格化。2023年にベータ版をリリースし、翌年には本格展開を開始。1年間で100施設以上への導入を実現し、順調にユーザー基盤を拡大しています。
 「ハイタッチ」は、スマートフォン上で完結する体験レッスン予約機能や、欠席の続く会員を自動的に検知しスタッフにフォローを促す機能など、運営側の業務効率化と顧客満足度の向上を両立させる設計が特長です。
テニススクール専用会員管理アプリ「ハイタッチ」でできること、テニススクール運営に特化した業務効率化機能

■ 大手との営業提携で拡大を加速

 営業面においては、テニス用品メーカー大手と提携し、信頼性の高い販路を確保。初期導入費は10万円、月額利用料は会員数に応じた従量課金制(1名あたり150円)を採用することで、施設規模に応じた柔軟な運用が可能となっています。

■ スポーツスクール全体を視野に

 今後は、テニススクール業界におけるさらなる普及を目指すとともに、物販など会員向けサービスの拡充も視野に入れています。さらに、フットサルやヨガ、フィットネスジムといった他分野のスクールへの展開も計画しており、業界特化型SaaSとしての成長が期待されています。

 

 
コメンテーターより
 

 大手企業(南海電鉄の新規事業開発部)の社内発ベンチャーとして起業し、数年をかけてここまで成長して来たことは注目に値します。今後も社内発ベンチャーの意義やメリットを外部に発信して欲しいと思います。
 事業的にはテニスコート予約からテニスクラブ等の会員管理システムへの展開を図ったように、他のスポーツへの拡大等いわゆる横展開も検討できると思います。
 大企業社内発ベンチャーの最大のメリット、マーケティング、人材、資金を有効に活用して加速化する成長を期待したいと思います。

(株)AGSコンサルティング 顧問 小原 靖明 氏



※「The INDEPENDENTS」2025年6月号 - P.9 掲載