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「試練を迎えるVC業界」

 


【國本 行彦】
1960年8月21日生。
東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任(現理事)
2020年6月 (株)ラクス社外取締役就任

日本ベンチャーキャピタル(NVCC)の奥原主一会長によると、2018年からこの5年間に連続でIPOを輩出できたVCは18社だけです。さらに全VCが保有する2022年IPO初値評価(想定回収額)は約1400億円と前年比で大幅に減少しています。メルカリがIPOした2018年は約3500億円の想定回収額、そして2019年~2021年は平均2600億円でした。VC業界の年間投資金額約8000億円に対し、投資金額の2~3割程度しか回収できていない計算になります。

2022年はエニカラ社など時価総額1000億円を超えるIPOもありましたが、最高評価額から1/20という強烈なダウンラウンドでIPOした事例もありました。VC業界に対する出資者の見方が急激に変化するとは思いませんが、個々のVCに対する評価は厳しくなるかもしれません。一方で2023年がVC業界にとって厳しいとすればVC投資のチャンスでもあります。振り返ればリーマンショック後の冬の時代にあった2012年がVCファンドの最も高いビンテージでした。

■ 2018年~2022年 5年連続IPO回収想定(初値×持株数)ランキング(単位:百万円)


※ NVCC資料より引用

※「THE INDEPENDENTS」2023年2月号 - p11より