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「VCが株式上場する意義」

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【國本 行彦】
1960年8月21日生。
東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任(現理事)
2020年6月 (株)ラクス社外取締役就任

独立系VCのフューチャーベンチャーキャピタル(=FVC、東証STD:8462)が、アクティビストの株主提案で経営陣全員が交代しました。新社長に選任された金武偉氏の株主提案には2/3以上の賛成がありました。金武偉新社長は、投資戦略の抜本的改革と開示姿勢の充実を掲げ、投資会社として高いリターンを追求し時価総額300億円そして更には1000億円を目指すと宣言しました。長く低迷していたFVCの株価に対する不満が個人株主から一気に噴出したようです。

前社長の松本直人氏は2016年1月にFVCの3代目社長に就任、多くの地域金融機関と地域創生ファンドの設立を手掛け、2022年4月期には過去最高の純利益を達成しました。手数料中心のビジネスモデル確立によって安定収益化に成功し、同時に地方創生や社会課題解決型VCを理念に掲げそれを実践してきました。しかし、多くの株主の期待は長期ビジョンより、短期に高い利回りを実現させる事でした。 VCファンドは出資者のために少しでも高い投資リターンを期間内に追求する事が最重要ミッションです。株式会社は継続が前提であり、収益追求と同時にビジョンの実現がミッションです。そして経営者は多くの株主の共感を得る必要があります。

地方創生という文脈において、私は松本直人氏の理念に強く共鳴しています。地方に生まれた起業家が多くの方の支持を得ながら世界を目指してほしいと願っています。ビジョンに共感する株主を増やすためにVC(投資会社)が株式上場する意義があると思います。


※「THE INDEPENDENTS」2022年7月号 - p2より