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「中小企業基盤整備機構のファンド事業」

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【國本 行彦】
1960年8月21日生。
東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任(現理事)



 今月の日本ベンチャー学会の制度委員会では「中小機構におけるベンチャー支援、ファンド事業の現状及び課題」についてファンド事業部の坂本英輔課長を講師とした研究会が開催されました。

 経済産業省・中小企業庁を主幹とする独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)は、政府系中小企業政策の一環としてベンチャー企業へのリスクマネー提供を、①起業支援ファンド②中小企業成長支援ファンド③中小企業再生ファンドという3類型のベンチャー(VC)ファンド出資を通じて行っています。

 この20年間に累計288の民間ファンドに4,346億円を出資(ファンド総額1兆3,060億円)する日本最大のベンチャー出資者であり、その累計投資先企業は5,448社で、IPO社数は214社になります。国内新興市場に占める中小機構出資ファンド投資先割合は15%と高く、累計収益倍率は1倍を超えると試算され、官民ファンドの収益性が問われる昨今の状況においては高い成果を出していると言えます。(2019年3月末現在)

 民間リスクマネーの呼び水効果が最大の目的であり、出資上限はファンド総額50%までですが、今年より最大出資金額が80億円に引き上げられ、ユニコーンを狙う大型VCファンドに対応しています。最近は政策要請に基づき、地域創生型ファンドやエンジェル投資型ファンドへの出資を強化しています。

 当社がGPを務める「The Indepednents Angel投資事業有限責任組合」にも中小機構が定めるエンジェル投資型ファンドとして150百万円の出資が決まりました。同ファンドは昨年12月の設立以来、特定非営利活動法人インデペンツクラブと連携して、地方を中心とした個性溢れるスタートアップ企業へ既に9社投資しており(2019年7月現在)、中小機構からの出資でファンド総額440百万円となり、更に投資を加速していきます。



※「THE INDEPENDENTS」2019年7月号 - p38より