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「地方のベンチャーキャピタル」

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【國本 行彦】
1960年8月21日生。東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任


2004年8月に設立された「えひめベンチャーファンド2004(愛媛銀行LP)」は、投資先11社のうち6社の愛媛県企業がIPOをしています。レイター・ミドルステージ投資が多かったとは言え、担当した宮川博之FVC愛媛事務所長は驚異的なパフォーマンスを出しました。2011年からの四国全体のIPO社数は9社ですので、このファンドの地域経済への貢献度もとても大きかったと言えます。

東北大学ベンチャーパートナーズが2015年8月に設立したTHVP1号のファンド規模は96億8000万円で、東北大学70億円と地方銀行2行を含めた適格機関投資家が26億円をLP出資しています。第1号投資先の東北マグネットインスティチュート社は設立出資(シードステージ)です。

今年4月に設立された「せとうち観光活性化ファンド」は、瀬戸内地域の地方銀行7行に加えクールジャパン機構も10億円LP出資した総額90億円のファンドです。1980年代から設立が始まった地方銀行の子会社ベンチャーキャピタルの5億円程度のスモールファンドでしたが、最近は複数の金融機関の出資によるラージサイズの地域ファンドも設立されています。

ベンチャーファンドにおいては規模の大きさとパフォーマンスは比例しません。ポイントはファンドをマネジメントする人材確保です。特にスモールファンドにおいては属人的スキルが重要になります。複数の地方ベンチャーキャピタルが地域を超えて運営連携するのも一つかもしれません。

※「THE INDEPENDENTS」2016年7月号 - p2より