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「株主コミュニティ制度と地方創生」

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【國本 行彦】
1960年8月21日生。東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任


グリーンシート市場の2018年3月廃止に伴い、非上場株式の発行及び流通市場として「株主コミュニティ制度」が2015年5月に日本証券業協会によって創設されました。「株主コミュニティ」を組成・運営する証券会社は、登録企業に対する審査と参加者の反社会的勢力排除を行い、「株主コミュニティ」参加者に限定して投資勧誘します。現在は今村証券(石川県)、島大証券(富山県)の2社が主に北陸企業11銘柄を取り扱っています。「株主コミュニティ制度」は地域に根差した企業の資金調達を支援する仕組みとして、地方創生に資する事が期待されています。また株式投資型クラウドファンディングの受け皿になり、小口株式投資の普及へと繋がります。

※平成28年6月17日に、みらい證券が株主コミュニティの運営会員に指定されました。
http://www.miraisec.co.jp/html/kabucommunity.htm

地域創生や地域活性化には、起業家やベンチャー企業に対する地元の強い支援が必要です。日本ニュービジネス協議会連合会では、地域密着型オーナー企業がベンチャー企業を支援する通称"旦那ファンド"のエンジェル制度の適用範囲を20億円から5億円への緩和を提言しています。都市から地方へのお金の流れの取り組みとしては、クラウドファンディングの手法を用いた小口投資である「ふるさと投資」があります。同様に「ふるさと納税」も地方創生に資する制度と言えます。

企業育成・産業育成には長期リスクに耐えられるエクイティが必要です。公的資金を中心にIoTやロボット分野へは積極的に投資されていますが、最近はバイオベンチャーに対する投資は細っているようです。 社会性が高く資金回収に時間がかかる事業には、リスク許容度の高いエンジェル(個人投資家、オーナー企業)等の民間資金も活用すべきです。

グリーンシート市場の累計登録数は213銘柄で、そこから新規上場した会社数は15社(プロ市場を含む)です。今後は地域のベンチャーコミュニティがしっかりとサポートして、「株主コミュニティ制度」から新規上場する地方のベンチャー企業が増えてほしいと思います。

※「THE INDEPENDENTS」2016年5月号 - p2より