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「ベンチャー投資と投資哲学」

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【國本 行彦】
1960年8月21日生。東京都立志村高校卒業。
1984年早稲田大学法学部卒業後、日本合同ファイナンス(現・JAFCO)入社。
2006年1月5日(株)インディペンデンツ(現(株)Kips)設立、代表取締役就任。
2015年11月9日 特定非営利活動法人インデペンデンツクラブ 代表理事就任


「自分が理解できない事業には投資しない」はウォーレン・バフェットの投資哲学です。ベンチャー投資の世界では「自分にとって必要な事業やサービスへ投資する」「世の中にあったら便利だと思う事業へ投資する」という投資哲学を持つエンジェル投資家がいます。投資で成功する人には投資哲学があります。

ベンチャーキャピタル(VC)は何よりも絶対的リターンを求められますが投資哲学の説明も重要になりました。最近のVCファンドは予め投資分野を設定するトップダウンアプローチ型で募集運用され、案件毎に投資を決定するボトムアップアプローチ手法や投資候補先が見えないブラインドプール型ファンドは、出資者の立場ではリスク判断が難しく敬遠されがちです。

ベンチャー投資で失敗するケースは、その投資対象分野のアウトサイダーである事、つまり情報不足にあります。事業性や経営者を瞬間で判断できる天才的な人もいます。しかし普通はインサイダーとして業界情報に長けていればこそ、投資判断はもちろん投資後の効果的なモニタリングやフォローアップに繋がっていきます。ベンチャー投資で成功する方法は自分の守備範囲(得意分野)で勝負する事です。

IT業界には成功した起業家や経営者が増えました。エンジェル投資家として経済的支援だけでなく経営アドバイス面での支援成果が出てきました。VCだけでなく、テクノロジーやサイエンス分野にも投資哲学を持つエンジェル投資家の出現とその成功が望まれています。

※「THE INDEPENDENTS」2016年3月号 - p2より