日本ベンチャーキャピタル株式会社 代表取締役 奥原 主一さん
一人のベンチャーキャピタリストとして
各界から錚々たる企業や起業家が集まり、日本初の本格的ベンチャーキャピタルとして1996年に設立。会計士の資格を取得し1998年にVC業界に飛び込んだ奥原氏は手探り状態から独自の投資スタイルを確立。今年4月にNVCC社長就任、現在も自ら最前線で投資を続ける。生粋のキャピタリストにベンチャー投資の成功ポイントを伺いました。
―投資先状況を把握するため取締役就任
奥原:私が入社した当時は、VC業界も未成熟で手本となるキャピタリストはどこにもいない状況でした。初めての投資先に取締役として派遣されたのがソフトブレーン㈱(東1:4779)です。まだ社員10人程度の会社でした。当社としても取締役派遣は初めてのケースでしたし、業界においてもまだまだ稀有な時代でした。「逃げられなくなる」と大反対されましたが、むしろ相手の懐に入って経営状況をいち早く把握する方が得策と社内を押し切りました。就任そのものが目的ではなく、投資先と信頼関係を築くためにこそ取締役に就任するのです。
―誰もやらないから投資する
奥原:㈱ファーストエスコ(マザーズ:9514)は当時、あらゆるVCから投資を断られた会社でした。当社でも全員が否定的でした。だからこそ可能性があると感じ、まず12百万円投資、追加投資も含めて計3回実行しました。多額の設備投資を伴う事業計画には反対でしたが、最終ラウンドで大手VCも投資を行い、結果的に大きなリターンを得ることができました。
―IPOを前提に投資はしない
奥原:私自身は11年間で43社投資しましたがIPOは7社だけです。一方、未上場段階での回収が21社あり、未上場の投資先においてもその回収合計額でみると投資元本に近い金額で回収できました。IPOを意識することなく、アーリーステージのリード案件を中心に投資した結果です。
―株価は絶対に妥協しない
奥原:投資判断に情は入りますが、株価に妥協はありません。一番怖い時に投資するわけです。上場企業もM&Aを行う場合、連結調整勘定(株価プレミアム)がネックとなります。純資産価格での投資が私の基本です。
―市場ではない、取引が見えているか
奥原:大企業が出られない分野にこそベンチャーの存在意義があります。枯れた技術でもひょっとしたら化けるかもしれない。地道に売上があればチャンスはあります。誰もが良いという場所に私は行きません。ITバブル時代も遊び以外で渋谷と六本木には近寄りませんでした。個人的には成長性も高く途中売却による回収もしやすいハイテク企業が好みです。
―投資進捗を焦らない
奥原:ファンドの満期は10年です。しかもキャピタルコール方式ではないのでじっくりと時間をかけて投資できます。パフォーマンスは1996年設立の第1号ファンドはプラス、ネットバブル時代の2000年モノでもプラスの見込みです。
※続きは「THE INDEPENDENTS」2009年7月号にてご覧いただけます。

