株式会社アスカネット[マザーズ:2438] 代表取締役社長兼CEO 福田 幸雄 氏
「わが社の経営 ~株式公開の軌跡~」
3月24日、中四国地方の起業家やIPO関係者の方々にお集まり頂き、広島インディペンデンツクラブ発足記念交流会が開催されました。第1部では2005年4月にマザーズ市場に上場したアスカネット福田社長にご講演いただきました。
アスカネットの福田です。私は中学生時代には自作のTV用チューナーを作って「人の知らない技術を売ればお金になる」ことを学び、20代に飛び込んだアパレル業界で売れる商品作りと在庫の怖さを知りました。本日は広島で起業してから普段、私が会社について考えている事や社員に伝えている事をお話しいたします。
―遺影写真で日本一
広島に戻ってからは遺影写真事業を始めました。写真を預かり加工して祭壇に飾るまで電話一本でどこでも行くので葬儀社から圧倒的支持を受けました。商売のコツは「どこで何に気がつくか」です。今では通信技術を活用して年間死亡者数100万人のうち約30万人の遺影写真加工を全国から請け負っています。
もうひとつ覚えたのは「面倒で手間がかかる」は商売になることです。当社の写真加工のオペレーターは早く、美しく出来るようものすごく訓練をします。最初はせいぜい1日2枚でしたが今では20枚までできるようになりました。これにユーザーサポート体制を充実させることで競合対策は万全になりました。
―たった1冊から写真アルバムを作る
株式公開をした理由は、葬儀写真ビジネスの安定した収益に満足せず、将来大きく花開くようなビジネスに取り組みたかったからです。自分がカメラマンとして「あったらいいな」とかねてから温めていた1冊単位から写真集を作るアイディアにチャレンジしました。しかし1個のものを別々に大量につくる製本工場は日本だけでなく世界中探してもありません。できない理由は100個ありましたが、1個ずつ解決していきました。結局は、それまでの自己資金とVCからの資金調達で自社工場を建て、5年目にしてやっと「エッ!」と思えるクオリティと値段が実現できました。プロのカメラマンにも支持され、今ではホテルやブライダル業界の多くが当社のサービスを採用しています。
―イノベーションのジレンマを避ける
新しい物事をやろうとするとリスクが出てくる。やらない方が正義という判断が会議で出てくるようになると会社は伸びなくなります。物事というのは大抵やらない方が安全です。そこがオーナー社長の特権で「リスクは十分に理解した。そのうえで、やろうと決めたから頑張ろうよ」と言えます。「イノベーションジレンマ」という本にもあるように、究極的には出来た瞬間にはイノベーションを始めないと時代手遅れになってしまいます。人気がある内に今の商品を否定するのは苦しい事ですが常に危機感を持つようにしています。ただ普段は社員に対しては命令や指示はせず、社員の「気づき」を待つようにしています。「社長、こういう風にしましょう」って言ってくれたその瞬間がチャンスです。自ら気づき、やりたいと思った事に対しては最後まで頑張ってくれます。「あれがやりたい」「これはできないのか」とわがままに映るかもしれませんが、社員の自発を促す社長でありたいと思います。
「THE INDEPENDENTS 2010年 5月号」より



