【特別連載】 企業目標達成のポイント
| 株式会社チェンジマスターズ 代表取締役 法貴 礼子氏 |
| 広島市出身。広島市のベンチャー企業の経営企画室で株式上場準備を4年間担当。経営計画立案や予実管理を実務として行う。その企業は4年間で年商が18倍に成長。2003年に静岡市へ移住。営業職を通じて数多くの中小企業経営者と接する中で、経営計画を立案・活用できていない企業が大半であることを知る。2005年2月に、企業成長の核となる経営計画立案サポートの専門会社「チェンジマスターズ」を設立。「会社を良くしたい」という熱い想いを形にするお手伝いに全力投球しています。 |
第5回 経営計画について考える
企業目標達成のための3つの必要条件について、ロケットが月に到達できた理由(ロケット理論)にならってお話を進めています。月に到達できた3つの根本的な理由は、次の3つです。
①月に行くという明確な目標を持ったから
②月に行くための方法論の具体化ができたから
③到達過程での軌道修正が的確だったから
前回までは、「①明確な目標を持つ」「②目標達成の方法を具体化する」という実行以前に行うポイントでしたが、今回は実行後の条件についてお話していきます。
さて、綿密な計画のもとに月へ向けてロケットは発射されました。しかし、ロケットは計画通りの軌道を通るとは限りません。日本人宇宙飛行士の野口聡一さんが船外作業でスペースシャトルの耐熱タイルを修理したのは記憶に新しいですね。飛行中に予期しないことが起こり、当初の計画通りに事が進まないことは当然のようにあります。しかし、実際に軌道を外れたロケットが最終的に月に到達できたのはなぜでしょうか?それは、月という目標を目指して軌道修正を行ったからに他なりません。
企業を取り巻く経済環境も日々刻々と変化しており、企業経営にも予期せぬ事が起こることは日常茶飯事です。では、企業の軌道修正について考えてみましょう。
- ズレがタイムリーに分かる仕組み
軌道修正するためには、まず、軌道からずれているかどうかを把握しなければなりません。ずれていることに気付いて初めてズレを直すことを検討できます。
それでは、ズレは分かるだけでよいのでしょうか?答えは「No」。万一、月までの距離と同じくらい進んだ時に「実は、月までの相当距離があります」などということでは、そこから急に軌道修正するには莫大なエネルギーや時間のロスが発生してしまいます。もしかしたら、燃料切れで月に到達せずに地球に戻らなくてはならないことにもなりかねません。要するに、目標との差はタイムリーに把握することこそが大切です。
経営においても、期末まで残り1ヶ月という段になって当期目標から大幅にずれていると分かっても、残り1ヶ月でとれる方策は極めて限定されてしまいます。ズレをタイムリーに把握するためには、試算表や月次実績などを迅速に(原則1週間以内)作成し、計画とのズレをチェックすることが必要です。
- ズレを修正する仕組み
次に、ズレが分かったら、それを修正する必要があります。企業経営においては、ズレの幅や原因を知るとともに、最終目標を達成するためにより良い行動に変化させていく事が必要です。
ズレの原因については、当初の計画通りに行動したのか?行動できなかったのならその理由は?行動できても計画通りの結果にならなかったのか?など、行動計画と実際の活動内容を比較する事から分析をスタートします。その原因分析を踏まえて、計画から遅れている部分を補いつつ最終目標を達成するためには、どのような活動をしていかなければならないのかを検討します。これが経営計画を活用した「経営会議」です。ここで気を付けなければならないのが、せっかくの経営会議が「3悪会議」にならないようにする点です。3悪会議とは、①説教会議、②報告会議、③追及会議を指します。
計画と実績の比較をベースとして、先の行動を検討する経営会議を社内で仕組み化していくことが、ズレを修正する仕組みづくりになります。
多くの企業で経営計画を作るまではできていても、それをもとに軌道修正することができていないケースをよく目にします。皆様の会社では、本当の意味での経営会議で軌道修正の仕組みができていますか?