【コラム】ベンチャーコミュニティを巡って
第14回 ベンチャーキャピタリストの要件
ある米国のベンチャーキャピタリストが作った資料を見ると、キャピタリストの要件として(1)経営経験、(2)技術のバックグランド、(3)強い人的ネットワーク、そして最後に(4)金融とマーケティング知識、とある。
同じ資料に、米国のベンチャーキャピタル・ファーム(VC会社)が抱えている人材には、アナリスト、アソシエート、プリンシパル、そしてパートナーという3ないし4つの階層があり、それぞれの階層の人材は、組織の中で昇進していくのではなく、それぞれの階層毎に組織の外部から入ってくる形を取るのが一般的だという。例えば、アナリストについては大卒後すぐか、大卒後1~2の就業経験をした人たちが来、アソシエートならMBA修了後すぐか、MBA修了後ハイテク企業やコンサル会社などで勤めた人材が来るといった具合に。そして、アナリストから頂点のパートナーになる人は全くといっていいほどいないし、アソシエートでも余程の貢献をした人以外は一旦他の企業に転職していく。
米国で通常ベンチャーキャピタリストと呼ばれるパートナーに関しては、その多くが成功した企業家か、大手企業の幹部だった人がなる。この人たちが、自身のネットワークを活用してファンド資金を集め、投資案件を作り出していくことになる。
筆者は米国のベンチャーキャピタル業界を特に詳しく知っているわけではないが、筆者の経験からみても上記の内容はほぼ事実といっていいように思う。
筆者が知っている米国のベンチャーキャピタリスト、すなわちVC会社のパートナーの多くは、過去数回の創業経験があり、かつ事業を軌道に乗せた経験を持っている人たちであった。また、その多くが何らかの理工系の学位を持ち、かつMBAホルダーでもあった。先に紹介した資料で、ベンチャーキャピタリストの要件として、経営経験と技術のバックグランドを挙げているのも頷けるところである。
ベンチャーキャピタリストになるためには、文系理系双方の高い学歴が必要だといっているわけでは勿論ない。ただ、キャピタリストにとって、経営、技術、金融など幅広い知識と経験が必要であることは確かであろう。
日本ではVC投資事業の導入当初から、VC投資事業を金融業と見る向きが強かったように思う。確かにVC投資事業が金融業の一環であることは間違いないとしても、その中心・本質は、革新的な事業を企業家と一緒になって世の中に定着させていくことにあるのであって、それは決して金融業ではない。したがって、そこに必要な人材は、金融的なスキル以上に事業経営や技術戦略に関する知識とスキルを有した人材といえよう。
今後の日本のVC投資を充実したものにしていく上で、キャピタリスト人材の養成・確保は急務といえる。既存の人材の研修教育は勿論として、他業界、他の世界からの人材確保それも国内外のでの確保を真剣に考える必要がある。

