【連載】IPOアラカルト
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第二回 IPOと上場廃止
最近東京証券取引所の上場会社数が減少していることが話題になっています。戦後一貫して増加してきた上場会社数が、年末ベースで2006年の2416社から減少に転じ、今後もこの傾向は止まりそうにありません。
特に今年は大幅な減少になりそうです。八月末ですでに53社の上場廃止会社が確定しています。一方IPOは14社(他市場上場、持ち株会社の再上場を含む)に過ぎません。
53社の上場廃止理由を見てみると、建設・不動産を中心に民事再生・会社更生等適用が11社、最も多いのが企業再編に係わる子会社の吸収合併あるいは持ち株会社化等が24社、株式の全部取得による(流動性基準に抵触)ものが8社、虚偽記載等が3社、その他債務超過、時価基準等上場廃止基準に抵触したものが7社となっています。
かっては上場廃止と言えば会社倒産によるものがほとんどでしたがが、事業再編によるものが次第に増加し、最近では買収ファンドあるいは経営者による株式の全部取得による自主的な上場廃止が急増しています。
もっとも、事業再編により持ち株会社化したものは持ち株会社自体の再上場があるため53社が純減となるわけではありません。また、株式取得による場合も再上場を意図したものもあり、いずれは証券市場に復帰を果たす可能性があります。
金しかし、最近でも日立の子会社の合併の発表等に見られるように、子会社を使ったグループ力強化策のため、グループ会社の非上場化は今後も進むものと思われます。
経営手法が変わってきていると言えばそれまでですが、株式というものを介在して上場会社の非上場化が容易に行われるのは証券市場としては寂しい限りです。
市場をいつも活性化しておくため、時代の変化に対応できなくなってしまった企業が市場から退場することは止むを得ないことではあります。しかし、上場会社の減少はたとえ親会社に吸収されたとしても投資家からみれば投資の選択肢の減少となり、証券市場の縮小につながることになりかねません。
証券取引所はこの状況に危機感を持っており、一方では不祥事からの上場廃止の撲滅に努めるとともに、他方では上場会社の増加に腐心している状況です。海外企業の呼び込みをも意図した日本版AIMを創設したのもその方策の一つです。
過去においてIPOは証券市場に不祥事が起きると審査を厳しくしなり、厳しくなりすぎるとIPOの減少となるため、他方でこの対策として再び審査を緩和してIPOの増加を促すというサイクルを繰り返してきました。
証券取引所がIPO数の減少に加えて、上場会社数の減少といった現状を踏まえて、これからどういった対策をとるのか、注視しておくべき時期に差しかかって来たように思います。
