THE INDEPENDENTS

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【コラム】ベンチャー最前線 第4回

田口弘エムアウト社長

新事業育成という事業を説明する田口弘エムアウト社長

 

 

事業創出・育成に再び脚光
エムアウト、本格展開に乗り出す
米でも太陽光発電など新事業を生み出す動き

 事業創出・育成というビジネスモデルが再び注目を集めている。「起業ファクトリー」を標榜するエムアウト(東京・港、田口弘社長)が事業売却により収益をあげつつあるほか、米国ではかつてネットビジネスを相次いで生み出したアイデアラボ(カリフォルニア州、ビル・グロスCEO)が太陽光発電事業を生み出すなど、勢いを取り戻している。経験のあるプロ経営者が自ら事業を構想し、軌道に乗せることで新規事業の成功確率を高める狙いだ。

 7月1日、東京・渋谷の恵比寿三越など2カ所でダイエットを意識する女性向けデリショップ「Delical.(デリカル)」がオープンした。販売する弁当は600キロカロリー以下、主菜になる総菜はすべて30%以上カロリーカットした。今後5年間で25店舗前後出店し、売上高30億円、営業利益5億円を目指す。デリカルの運営会社はエムアウトの子会社。入念な調査と準備を経て、2008年12月に設立した。

 エムアウトは2002年10月、部品商社の現ミスミグループ本社で30年にわたり社長を務めた田口弘氏が自己資金で設立した。創業以来、現代アート作品の販売や宝飾品のリフォーム、訪問歯科診療など6つの事業を作り出してきた。

 昨年12月には、就業体験などさまざまな付随サービスが充実した学童保育事業「キッズベースキャンプ」を東京急行電鉄に譲渡し、初めて売却益を上げることもできた。事業の創出から育成、売却というビジネスサイクルが回り始めた。

 エムアウトは6月、デリカルの出店に合わせて、事業戦略説明会を開いた。田口社長は、開業率が高い国は経済成長していることや新規開業率が雇用を生み出すことなどを強調。そのうえで、日本の開業率や起業活動が国際的に見て低調で、問題があると指摘した。「年間数社の事業を育成して売却するサイクルを作りだしたい。将来の上場も検討している。ベンチャーの閉塞感を打ち破りたい」と意気込んだ。

 年間500件以上のビジネスプランを検討し、最終的に年間3~4件を事業会社として立ち上げる。事業会社各社には会社設立前に開発投資資金を7500万円、設立初年度に1億5000万円めどに投入。5年目には時価総額30億円、エムアウトの持ち分比率は20%という成長ストーリーを描いている。

 日本でも事業の育成・売却を本業として標榜する企業は存在した。インターネットビジネスの分野でのネットエイジ(現ngi group)が代表的。実際、自ら立ち上げた事業をヤフーや楽天、三井物産などに売却した実績も上げてきた。ただ、同社の現状をみると、長続きはしづらいようだ。

 翻って、米国では、アイデアラボのような事例もある。2007年には太陽光発電ベンチャーのイー・ソーラーを設立。イー・ソーラーのCEOはビル・グロス氏が兼務している。経験の浅いベンチャー経営者に投資するより、自ら事業を作る方が確実との考え方を実践している。

 昨年には、米グーグルなどから合計約130億円を調達し、発電所建設などに本格的に乗り出した。一部では、電力需要の大きいグーグルへの売却をイグジットの選択肢としているとの見方もある。

 アイデアラボは経済や社会の情勢に合わせて、巧みにフォーカスする事業領域を変化させて、自らが生き残るだけでなく、産業構造の転換にも寄与してきた。日本にもそうした役割を果たせる事業創出・育成会社は必要であろう。

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