THE INDEPENDENTS

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【コラム】ベンチャーコミュニティを巡って

國學院大学 秦 信行氏國學院大学 秦 信行





第9回 ベンチャーキャピタルの投資手法見直しの時?

今年2009年上期の株式公開(IPO)社数は9社と激減した(前年同期24社、通年49社)。下期は上期よりは増加すると思われるが、当初予想されていた30社台に乗るかどうか。

IPOの減少はベンチャーキャピタル投資、さらにはベンチャーキャピタル会社の業績に大きな影響を与える。先頃の日本経済新聞社の記事によると、日本の上場ベンチャーキャピタル会社の2009年3月期はいずれも最終赤字となり、今期も厳しい状況が続きそうだ。

日本のベンチャーキャピタル投資の資金回収手段はIPOが大きな比重を占める。2007年の財団法人ベンチャーエンタープライズセンター(VEC)の「ベンチャーキャピタル等投資動向調査」をみると、IPOによる資金回収が約半分を占めている。ちなみに、第三者への売却による資金回収は15%程度に過ぎない。

米国では、2002年のSOX法成立以降IPOが米国でも減少していることもあり、2007年のデータをみるとIPOによる資金回収した投資先ベンチャーの数が86社、一方M&Aにより第三者に売却して資金回収したベンチャーの数が342社と日本とは逆の形になっている(”2008 National Venture Capital Association Yearbook”より)。

日本のIPOが今後急速に回復するようには思われない。また、そもそもベンチャーキャピタル会社は回収手段を多様化し拡大する必要がある。そのためには、当面第三者への売却の道を太くすることが求められよう。

現状を見ると、金融機関系のベンチャーキャピタル会社は特に、1社当りの投資金額を抑え、数多くのベンチャーに投資するやり方を採っているように思われる。ちなみに、先述のVEC統計を見ると、2007年の日本のベンチャーキャピタルの1社当りの新規投資額は、米国の6億円弱に対して7000万円程度に過ぎない。反面、2007年の新規投資社数を見ると、米国の1300社弱に対して1600社強とむしろ上回っている。

ベンチャーキャピタルの新規投資に伴うベンチャーの持株比率のデータはないが、多分日本ではかなり低いものと推測される。米国の数値も明確ではないが、ある研究者の1990年代央のデータを見ると、初回投資で30数%に上る。ちなみにそのデータによると、米国では2回目のVC投資でVCの持株比率は50%超と過半を占める結果になっている。

日本では企業家の持株比率へのこだわりが強い。従ってベンチャーキャピタルの持株比率を引き上げるのは難しいという事情もあろうが、いずれにしても今までの小口の分散投資といった投資手法は見直しの時期に来ているように思う。個々のベンチャーキャピタル会社は、投資先ベンチャーと手を携え新しい事業の確立に向けてリスクを取る覚悟を改めて確認して戴きたい。

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