THE INDEPENDENTS

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【コラム】ベンチャーコミュニティを巡って

國學院大学 秦 信行氏






第1回 冷え込むベンチャーコミュニティ

9月のリーマン・ショック以降日本のみならず世界の株式市場は混乱状況にある。なかでも日本の新興株式市場は既に2006年初から低迷を始めており、その株価下落幅は東証一部市場などと比べて極めて大きい。例えば、ジャスダック指数をみると、現状の指数は直近のピーク2006年初の約3分の1の水準になっており、さらに東証マザーズ指数にいたっては同じくピークの2006年1月水準の10分の1近くにまで落ち込んでいる。

株価低迷を受けて、ジャスダックも含めた新興市場へのIPO件数も一昨年の154件から昨年は103件に減少、今年に入ってからも大幅に落ち込んでいる。今年10月までの新興市場へのIPO件数は僅か31件にすぎない。

IPO件数の減少は、日本版SOX法による内部統制強化のための煩雑さやコスト増によるところもあるが、株価低迷に伴ってIPO時の公募増資で調達可能な資金が減少していることも影響している。最近公開したある会社など、公開は果たせたものの公開時公募で調達できた資金規模は計画を大きく下回り、その後の市場低迷もあって引き続きの株式市場での資金調達はままならず、資金繰りに窮している有様である。

ベンチャーキャピタル投資においても、正式な統計ではまだ確認できないものの昨年秋以降下降気味であることは間違いない。特に今年に入ってからは、リスクの高いバイオ企業などの投資やスタートアップ、アーリー・ステージへの投資を控えるベンチャーキャピタル会社が目立っており、創業後間もないベンチャーの資金調達は難しい状況にある。

日本のベンチャーコミュニティにおいては、1990年代以降の基本的には規制緩和を理念とした相次ぐ法制度改正、東証マザーズをはじめとした新興市場の新設などインフラ整備が進み、インフラの点では欧米各国と比較しても遜色ない状態になった。ここ10数年で日本でも本格的なベンチャー創出の基盤が整った訳である。その結果インターネットの普及によるネットベンチャーやバイオベンチャーの台頭、2002年以降の長期の景気拡大も手伝って、曲がりなりにもベンチャーコミュニティは最近まで活況を続けてきた。しかし、状況は昨年後半以降一変した。少し行儀の悪いベンチャーも出てきたこともあって、再び規制強化すべきとの声も聞こえてくる。

イノベーションの担い手としてのベンチャーの重要性は言うまでもなかろう。特に今後の日本経済を考えた時、少子高齢化が進み資本や労働力の拡大が難しくなっている日本で、イノベーションによる生産性向上が日本経済成長の大きな鍵を握っていることは間違いない。既存大企業によるイノベーションにも期待しなければならないとしても、ベンチャーによるイノベーションが疲弊して言い訳はない。今後産官学上げて知恵を出し合い、再度新しい企業創出が進展する状況を作りだしていかなければならない。

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