土佐鰹水産株式会社 代表取締役 明神 宏幸 さん
土佐の伝統を守り、漁業の明日をつくっていく
―土佐では藁焼きが主流だそうですね
明神:藁は火力が強く、鰹の肉色を損なう事なく表面のみを一気に焼き上げます。燃える時に発生するけむりやにおいにはフェノールが含まれています。これが鰹の脂の酸化防止・殺菌をしてくれます。藁焼きには土佐の昔ながらの「知恵」があるのです。平成12年には藁焼きタタキ製造法および製造装置に関する特許を取得しました。
―一本釣りという漁法にこだわりがあります
明神:鮮度がまるで違うからです。一匹ずつ漁獲して-18℃以下の食塩ブライン液で活〆し、急速凍結されます。大量漁獲である巻網漁法では、船内に取り込み凍結するまでに時間がかかります。データ(本誌にはグラフが挿入されています)からも一本釣り鰹と巻網鰹の鮮度や肉質の差は明らかです。
―「海のエコラベル」と言われるMSC認証を申請中です
明神:MSC(*)とは世界的な漁業資源減少傾向の転換への貢献・海洋環境の回復実現・漁業者の生計維持への貢献を目的とした国際的NPOです。これが認証されれば鰹という魚種では世界初です。日本の漁業では2番目になります。日本では経済性追求・価格競争により、漁業従事者は苦しい経済環境に立たされています。欧米ではMSCは高く評価されており、商品価格にも反映されています。日本でも価格ではなく理念による消費活動が啓蒙されれば、マーケットも拡大するでしょう。魚を獲りに行く人の環境が健全に整備され、消費者がきちんと対価を支払う循環を作る事が我々の使命です。巻網漁法との明確な差別化と一本釣りに関わる人たちを守るために、MSC認証を申請しました。
(*)Marine Stewardship Council:海洋管理協議会
持続可能で適切に管理され、環境に配慮した漁業を認証する制度。イギリスに本部があり、「持続可能な漁業のための原則と基準」に基づき、漁業を第三者の認証機関が認証し、その水産物にはMSCの認証マークが与えられる。具体的に、①水産資源が適切に管理されている ②漁業が海洋環境に配慮している ③規制を守る仕組みがある の3つの原則によって認証が行なわれる。
―焼津に来て裸一貫で創業されました
明神:土佐で生まれ、高知高校卒業後は家業を手伝っていました。しかし平成9年に独立、一人で焼津に来て何の後ろ盾もない所から事業を始めました。焼津はその立地から多くの漁船が集まってきます。商圏としても魅力的です。ここで高知のハングリーさを絡めて成功すれば、全国展開もできるだろうと考えました。資金繰りに苦労した時期もありましたが、供給体制を整え、今では年商40億円にまで成長しました。
―販売先はどこでしょうか
明神:生協やイトーヨーカドーなどの量販店、ワタミなど外食店と取引しています。価格も当然重要ですが、品質を重視する姿勢が評価されたのだと思います。当社は一本釣り専門の漁船とだけ契約しています。
―人材育成にも力を入れています
明神:創業時から家族が一丸となり休む暇もなく働いて参りました。日本の中小企業は同族だから生き残れます。今では従業員は150人を超える程になり、業務毎に組織分割しました。今後は各自が経営責任者としての自覚をもち、互いに切磋琢磨して、従業員の満足を達成する組織にしたいと思います。
―今後の展開について教えてください
明神:創業時から家族が一丸となり休む暇もなく働いて参りました。日本の中小企業は同族だから生き残れます。今では従業員は150人を超える程になり、業務毎に組織分割しました。今後は各自が経営責任者としての自覚をもち、互いに切磋琢磨して、従業員の満足を達成する組織にしたいと思います。
※「THE INDEPENDENTS」6月号 - p10-11 より



