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知的財産判例に学ぶ企業活動(22)

2020-05-07 公開
弁護士法人 内田・鮫島法律事務所
弁護士/弁理士 高橋 正憲

弁護士法人 内田・鮫島法律事務所
弁護士/弁理士 高橋 正憲 氏

2004年北海道大学大学院工学研究科量子物理工学専攻修了後、(株)日立製作所入社、知的財産権本部配属。2007年弁理士試験合格。2012年北海道大学法科大学院修了。2013年司法試験合格。2015年1月より現職。

【弁護士法人 内田・鮫島法律事務所】
所在地:東京都港区虎ノ門2-10-1 虎ノ門ツインビルディング東館16階
TEL:03-5561-8550(代表)
構成人員:弁護士25名・スタッフ13名
取扱法律分野:知財・技術を中心とする法律事務(契約・訴訟)/破産申立、企業再生などの企業法務/瑕疵担保責任、製造物責任、会社法、労務など、製造業に生起する一般法律業務
http://www.uslf.jp/

知的財産判例に学ぶ企業活動(22)

実用新案権侵害訴訟で高額賠償?(実用新案の有用性)

平成28年3月17日判決(平成26年(ワ)第4916号[足先支持パッド事件])


 今回は、実用新案権の侵害が争われた事例を紹介します。

1 事案

 本件は、考案の名称を「足先支持パッド」とする実用新案権を有する原告P1が,被告が製造販売する被告商品(足の指と指の間に嵌めて使用する弾性素材のパッド)が同実用新案権に係る考案の技術的範囲に属すると主張して,被告に対し,実用新案権に基づき被告商品の製造,譲渡等の差止め及び同商品の廃棄を求め損害賠償金の一部として2億円等の支払を求めた事案であります。

2 大阪地裁の判断および本判決から学ぶこと

 本件では、被告は、①被告製品は本件考案の技術的版に属しないこと、②本件考案は新規性欠如の無効理由があること、③本件考案は進歩性欠如の無効理由があることを主張しましたが、大阪地裁は、被告の主張をいずれも排斥し、被告製品は原告の実用新案権の侵害を構成するとして、以下の判決を判示しました。

【大阪地裁の判決】(一部抜粋)

1.被告は,別紙被告商品目録記載の商品を製造し,譲渡し,又は,譲渡若しくは貸渡しのために展示してはならない。
2.被告は,別紙被告商品目録記載の商品を廃棄せよ。
3.被告は,原告P1に対し,1億6290万6617円及びこれに対する平成27年8月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

 本件は、実用新案権侵害を認め、差止と、高額な損害賠償を認める判決となりました。実用新案権は、特許権に比して、使用されることが少ないと言われています(日本国内での平成30年度の出願件数は、実用新案が約5,388件であるのに対し、特許は約31万3567件)。しかし、実用新案も使い方によっては、本件のように、差止や高額な損害賠償を得ることができる手段として用いることができます。
 では、特許と実用新案の違いはどのような点にあり、どのような場合に、実用新案権が有効なのでしょうか?  特許と実用新案の違いに着目して見ていきたいと思います。

写真

 上記表のとおり、特許と比較した場合の実用新案の特徴は、①対象が物品の形状・構造に限定されること、②出願時には実体審査が無いが、権利行使時に技術評価書を取得する必要があること、③安価に権利を取得できるが存続期間が10年と短期間であること、が挙げられます。
 したがって、製品ライフサイクルの短い製品であって、物品の形状や構造に特徴を有する製品(本件で問題とされた足先支持パッドもそのような製品であると思われます。)については、安価かつ早期に権利取得できるメリット(*)もあるので、実用新案権による保護を検討されてもよいかと思います。

(*)実用新案権であっても特許権と同様に、損害額の推定規定などの適用があるので、本件のように、高額賠償が認容されることも十分ありえます。

※「THE INDEPENDENTS」2020年4月号 - P16より
※掲載時点での情報です

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