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(株)FOMM

2020-05-07 公開

<話し手>
(株)FOMM
代表取締役 鶴巻 日出夫 氏
生年月日:1962年3月15日 出身高校:都立産技高専
1982年鈴木自動車工業(株)(現:スズキ(株))入社。二輪車のエンジンから車体まで多岐にわたる設計を担当。1997年アラコ(株)に移り、一人乗り電気自動車「コムス」等の開発に携わる。その後のトヨタ車体(株)でも新型コムスの企画・開発に従事。2012年(株)SIM-Driveで超小型電気自動車の東南アジア展開を企画。2013年当社設立、代表取締役就任。

【株式会社FOMM】
設 立 :2013年2月4日
所在地 :神奈川県川崎市幸区新川崎7-7 かわさき新産業創造センター(KBIC) 本館214号
資本金 :3,505,170千円
事業内容:小型電気自動車開発
URL :https://www.fomm.co.jp/

<聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
弁護士 鮫島 正洋氏(左)
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。

鮫島正洋の知財インタビュー

独創的な小型電気自動車『FOMM ONE』を開発―メイドバイジャパンの技術で国際社会に貢献


■世界最小クラス4人乗り電気自動車

鮫島:貴社は、超小型電気自動車「FOMM ONE」(フォムワン)の企画・開発を手がけておられ、製造・販売をタイで立ち上げた株式97%保有の会社「FOMM(ASIA)」(エフオーエムエム・アジア)で行っておられますので、日本の技術で開発した製品をタイで量産している形ですね。


鶴巻:そうですね、“Made by Japan, Made in Thailand”と表現しています。事業としては、3つの柱があります。1つ目は、展開する地域や用途に適したモビリティの企画・開発を行う事業。2つ目は、小型モビリティに最適なサービス・プラットフォームの企画と提供。こちらに関しては、IoTを活用して車両とインフラを管理するクラウドサービス「BatteryCloud」(バッテリー・クラウド)を日本とタイで商標登録しています。3つ目は、小型モビリティの製造ライセンスを提供し、小型生産工場をフランチャイズ展開する「Micro-Fab」事業です。

鮫島:事業の軸となる小型電気自動車「FOMM ONE」を簡単に紹介してください。


鶴巻:世界最小クラスで4人乗りの電気自動車です。特徴としては、まずアクセルを手元に配置し、省スペース化を図るとともにペダルの踏み間違いを防いでいます。また、インホイールモーターをフロントタイヤに搭載することで、運転性能に加え、車内スペースや電費効率も向上しています。バッテリーに関しては、通常の充電にくわえ、街中にある専用ステーションでも交換が可能です。さらに、災害などの緊急時には水に浮き、低速での水面移動も可能です。

■地球環境保全や貧困の根絶が経営理念

鮫島:災害時に水に浮かぶ点は注目を集めていますが、「小型」な「電気自動車」を開発した背景には、どんな狙いがあるのでしょうか。


鶴巻:経営理念にも掲げているのですが、当社の最終的な目標は地球環境の保全や貧困の根絶です。製品やサービスの環境影響評価の指標に「LCA(ライフサイクルアセスメント)」というものがあります。ある製品の部品が作られるところから廃棄・リサイクルまでに、どれだけエネルギーを使うかを計るものです。このLCAにも最大限寄与するモビリティ・メーカーとなることを目指して、「小型」と「電気自動車」の2点を重視しています。

鮫島:走行時はCO2を排出しないため環境に優しいようでも、LCAの数値は大きいという電気自動車もあるわけですね。「貧困の根絶」についてはいかがですか。


鶴巻:小型モビリティの生産工場「Micro-Fab」を、たとえばアフリカなど、自動車業界が進出していない地域に建てたいと考えています。「Micro-Fab」は組み立て工程のみのため、少しトレーニングすれば誰でも働けます。そうやって雇用機会を創ることで親たちが新たな収入を得て、子どもたちが適切な教育や医療を受けられる環境に変えたいと考えています。

■知財戦略は、知財の確保に固執しないこと

鮫島:貴社の事業は一見製造業のようですが、それを超えた社会的なビジョンをお持ちであることがわかりました。話題を変えて、知財の取得状況をお聞かせください。


鶴巻:水に浮かぶ仕組み、アクセル操作を手で行う仕組み、インホイールモーターをフロントタイヤに搭載する仕組みなどは特許を取得しており、PCT(国際特許)も出願しています。その他にも、その場で旋回することが可能なサスペンション構造などをPCT出願済みです。

鮫島:必要なところはしっかり抑えておられますね。しかし、新興国でのビジネスにおいては、知財が意味をなさないケースが少なくありません。「Micro-Fab」で製造された製品に関しては管理することはできますが、技術を模倣されるリスクについてはどのようにお考えでしょうか。


鶴巻:「奇数戦略」が弊社のポリシーです。まず我々が最初の一歩を踏み出し、誰かに模倣されたものを二歩目とすれば、三歩目をまた我々が刻めば良い、その繰り返しが四歩目、五歩目と続いていくと捉える考え方です。私としては、模倣品は決して同じ品質にはならず、かえってブランド力を上げてくれるのではないかと思っています。弊社は研究開発さえできれば良いので、「Micro-Fab」もフランチャイズ展開を考えていますし、さらに言えばCVCやパーツ売りも視野に入れています。

鮫島:知財に関して柔軟な姿勢を取れるのも、鶴巻さんが自動車メーカーのエンジニアとして長年培ってきた技術力があればこそですね。これから資金調達などの正念場を迎えられると思いますが、技術力や開発力に絶対の自信があることは大きな強みです。ぜひ、”Made by Japan”の技術で世界に貢献してください。本日はありがとうございました。


*対談後のコメント

鶴巻:短い時間で弊社の特徴や経営理念などを的確な質問で引き出して頂き、感謝しています。ベンチャー企業の差別化にもつながる特許戦略ですが、弊社は記事にもある通り、少し考え方が異なります。積極的にまねをしてもらうために情報を開示し、少しでも収入を得るライセンス契約を主眼に置いていて、弊社はその資金で次の開発を行います。最初からグローバルで事業展開することも重要な戦略の一つです。少しでも読者の参考になれば幸いです。

鮫島:小型自動車生産のライセンスビジネスという同社のビジネスモデルは、一見すると特許戦略が極めて重要に見える。ところが、アジアを含めた新興国では、制度未熟のため特許戦略が奏功しない。そこをクリアする論理が確かな技術力を裏付けとした「奇数戦略」であり、新興国おける事業戦略として、十分な説得性が認められる。


―「THE INDEPENDENTS」2020年4月号 P12-13より
※冊子掲載時点での情報です

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【2020年6月号】


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テラドローン(株) 徳重徹
(株)テクノスピーチ 大浦圭一郎
tryangle(株) 藤原真吾
(株)トルビズオン 増本衛
(株)キュービクス 丹野博

<ポストコロナ特集>
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