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令和時代のスタートアップ・エコシステム

2020-03-26 公開

独立行政法人中小企業基盤整備機構
理事 水野 正人 氏(左)

平成6年京都大学経済学部卒業後、通商産業省入省(工業技術院総務部総務課)。平成22年内閣官房地域活性化統合事務局企画官。平成23年経済産業政策局産業人材政策担当参事官室長。平成24年官民交流法派遣(東京海上日動火災保険株式会社)。平成26年中小企業庁事業環境部企画課調査室長。平成27年内閣府政策統括官(科学技術・イノベーション担当)付参事官。平成30年大臣官房参事官(イノベーション・環境担当)。令和元年独立行政法人中小企業基盤整備機構理事(現任)。

インデペンデンツクラブ代表理事
秦 信行 氏(右)

早稲田大学政経学部卒業。同大学院修士課程修了(経済学修士)。野村総合研究所にて17年間証券アナリスト、インベストメントバンキング業務等に従事。1991年JAFCO に出向、審査部長、海外審査部長を歴任。1994年國學院大学に移り、現在同大学名誉教授。1999年から約2年間スタンフォード大学客員研究員。日本ベンチャー学会理事であり、日本ベンチャーキャピタル協会設立にも中心的に尽力。2019年7月よりインデペンデンツクラブ代表理事に就任。

令和時代のスタートアップ・エコシステム


<Vol.3>独立行政法人中小企業基盤整備機構


このコラムは、現在全国で数多く生まれているスタートアップ支援組織や支援団体を対象に、その組織や団体が生まれた背景や経緯、支援内容の特色、組織としての今後の方向性、組織からみた日本のベンチャー・エコシステムの現状、問題点や課題などを、組織・団体のトップへのインタビューを通じて紹介するものである。第3回目は、独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、機構と略)。その機構でファンド事業や人材支援事業(中小企業大学校)をご管掌されている水野正人理事にインタビューをお願いした。

独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、機構と略)は、それまであった中小企業総合事業団、地域振興整備公団及び産業基盤整備基金という3つの政府系特殊法人が統合されて2004年に設立された。ただ、機構の前身の一つである中小企業総合事業団もまた1999年に幾つかの政府系組織が統合されて出来た組織であり、その前身は1980年設立の中小企業事業団まで遡ることが出来るなど、機構の実質的な歴史は実はかなり古い。
 機構の事業内容は、中小企業やベンチャー企業への助言や研修、ファンド事業を通じた資金提供、共済制度の運営、全国に9つある中小企業大学校の運営などで、中小企業者の事業活動の活性化のための基盤整備を行うことにある。
 また、参加者同士の対話に重きを置いたワークショップやイベントを通して学べる場である「TIP*S」を丸の内に開設するなど新しい試みを始めており、特に最近では、10校目の中小企業大学校という意味で、ネットを利用した受講定員5名の小さなキャンパスで双方向通信により学べる「ウェビーキャンパス(WEBee Campus)」、スタートアップのためのアクセラレーションプログラムである「FASTAR」をスタートさせている。

秦:まず機構の事業内容についてお伺いしたい。


水野理事:当機構では5年ごとの中期計画に基づいて運営している。今年度から第4期中期計画期間に入り、新しく着任した豊永理事長の下で新事業展開や創業支援を柱の一つとして事業を進めている。勿論スタートアップ支援も重点分野の一つだ。

秦:では、スタートアップ支援として具体的にやっておられることは何か。


水野理事:まずファンド事業。次いでインキュベーション施設を通じた支援。全国に29施設あり、大学と一緒に作っているものが多く、産学連携支援も兼ねている。東京丸の内にある「TIP*S」という施設では、創業志望者をはじめ、新しい行動を起こしたい方向けに、平日夜ほぼ毎日通いやすい価格でワークショップを実施している。昨年7月には「創業・ベンチャー支援部」を創設し、加えてアクセラレーションプログラムである「FASTAR」もスタートした。1次選考で15社程度を選び、数か月かけて事業計画のブラッシュアップを行い、最後に資金調達に向けて、VCなどの投資家を集めたデモデイを開催する予定である。

秦:ファンド事業の成果はどうか?


水野理事:ファンド事業は平成10年に始まった。昨年までの実績を述べると、機構がLP出資をしたファンド数は299本、コミット金額4,589億円、民間からのLP出資も合わせると1兆3,967億円、それらのファンドから投資された企業数は約5,700社で、その内IPOをした会社が229社になった。ファンド出資制度のカテゴリーは、起業支援ファンド、成長支援ファンド、再生ファンドの3つ。機構の出資割合の上限はファンド総額の50%としている。

秦:機構の出資割合は下がってきているのか。


水野理事:出資割合は下がってきている。ファンド資金を初めて集めるような1号ファンドでは、民間からの出資が集まりづらいので機構の出資割合は高くなるが、2号、3号といったファンドになると20~30%に下がるケースが多い。機構は民間によるリスクマネー供給のあくまで下支えであり、望ましい形であると捉えている。

秦:スタートアップ・エコシステムの現状をどのように見ておられるか。


水野理事:民間からのリスクマネーは徐々に増え始めている。それに伴いファンド規模も大型化しつつある。ファンドサイズが大きくなると、投資ステージも変わってきてシード・アーリーだけでなくVCがスタートアップの成長を一貫して支援できる体制になりつつある。日本で過去は余りなかった追加投資も増えているようだ。それに合わせて機構のLP出資の上限も1ファンド60億円から80億円に引き上げた。

秦:その他の変化はどうか。


水野理事:スタートアップと投資家の出会いの場も増えており、裾野の広がりは感じている。大企業もオープンイノベーションの取り組みを強化しており、国も後押ししている。

秦:東京を中心とした首都圏と地方ではかなりの格差があるようだが・・・。


水野理事:首都圏に集中しているリスクマネーをどのように地方に広げていくか。日本全体として投資の層を厚くしていくことが肝要だと考えている。地方には人がいないのか、資金そのものがないのか、何に対して支援をしていくべきなのか、機構の中でも議論している。加えてファンドの投資領域に偏りも見られる。ITに集中しすぎていないか。モノ作りやバイオ、産学連携案件など、資金回収に時間が掛かるものの、社会へのインパクトが期待される領域への投資が少ないので、政策的にも力を入れる必要がある。また、新しいリスクマネーの担い手の登場にも期待している。

秦:エンジェルファンドの現状はどうか。


水野理事:今のところインデペンデンツクラブのファンドを含めてまだ3本。リスクマネーが不足しがちな地方において信頼のおける方にファンドを担ってもらうことも重要である。

秦:改めて日本のエコシステムの問題点、今後の課題をお聞きしたい。


水野理事:先ほども述べたが、現在のリスクマネー供給には、分野的・地理的偏在が見られる。また、持続的なリスクマネーの供給も重要であり、そのためには機関投資家、中でもまずは日本の機関投資家にVCファンドを評価してもらう必要がある。

秦:最後に最近の日本の起業家をどう見ているか。


水野理事:若者だけでなく、様々な年齢層で起業への関心は高まっている。そうした新しい起業家には、海外と繋がったビジネス、グローバル展開を望みたい。機構では海外も含めた販路開拓の支援機能も持っている。そうしたリソースも活用して頂きたい。

※「THE INDEPENDENTS」2020年3月号 掲載
※冊子掲載時点での情報です

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