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(株)エルシオ

2020-03-12 公開

<話し手>
(株)エルシオ
代表取締役副社長 李 蕣里 氏
大阪大学理学部化学科卒業。東京大学理学系研究科化学専攻修士課程修了。2017年大阪大学理学研究科博士後期課程修了後、大阪大学にて特任研究員として勤務。2019年当社共同創業。2020年2月代表取締役副社長就任。

【株式会社エルシオ】
設 立 :2019年4月25日
所在地 :大阪府大阪市吹田市山田丘2-8 大阪大学テクノアライアンスC棟
資本金 :8,000千円
事業内容:液晶レンズと電子応用機器の研究開発と製造販売
URL :https://www.elcyo.com/

<聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
弁護士 鮫島 正洋氏(左)
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。

鮫島正洋の知財インタビュー

世界初となる度数可変型レンズを携え、最初のフォーカスは「眼鏡」のイノベーション


■度数を自由に変えられる眼鏡「エルシオグラス」

李:当社では、広範囲で度数を変えることができるレンズ「エルシオレンズ」を開発しており、コアとなる大口径の度数可変型液晶レンズは世界初の技術です。光学ズームは日々進化する一方で、昔からある「眼鏡」は依然アナログなままです。きわめて身近で、多くの人にとって生活する上で欠かせないアイテムであるにもかかわらず、ずっとイノベーションが起こっていないのです。
鮫島:エルシオレンズの眼鏡への応用を目指しているわけですね。
李:国内の老眼人口は7,800万人とも言われており、また若年層の「スマホ老眼」も増えています。当社が開発する度数可変眼鏡「エルシオグラス」は、レンズの焦点距離を自由に変えられるため、現在の老眼鏡や遠近両用眼鏡よりもはるかに快適に視界を調整できます。
鮫島:度数可変眼鏡は社会貢献性が高く、ニーズもあると言えますね。
李:白内障の方が使う眼鏡や、弱視・斜視を持つ児童に向けた眼鏡の製品化も目指しています。白内障の場合は、一般的に使われる単焦点眼内レンズに焦点制御機能がないため、活動ごとに眼鏡を付け替えなければならないという不便な状況があります。また、弱視・斜視児童は、成長や体調によって視力が変わるため、定期的(例えば、3ケ月おき)に通院し、眼鏡を新調する必要があります。エルシオグラスならば、ひとつの眼鏡で視力の変化に即対応できます。

■眼鏡以外へのさまざまな分野への応用も

鮫島:度数可変型液晶レンズは、眼鏡以外にも多岐に応用可能ですね。
李:アイケア・ヘルスケア領域では、眼鏡に加えてコンタクトレンズへの応用も可能です。また他領域においても、VRやAR用のヘッドマウントディスプレイ、車載カメラや防犯カメラ用カメラモジュール、照明器具、移動体通信などに利用できます。
鮫島:どれもハードウェアを扱うため、本来であればかなりの数の特許が必要になります。資金力のないベンチャーにとっては、いかに数を少なく、有効な特許を取得していくかがポイントになります。特許の取得状況はいかがですか。
李:レンズのデバイス構造に関する基本特許、それを補強する特許の取得を始めとして、応用に関連する特許を数件出願中です。様々な分野への展開には他社との提携が必須で、実際に大手企業からのお声掛けもいただいている状況です。
鮫島:理想としては、ヘッドマウントディスプレイ、カメラ等、それぞれの用途について基本的な特許を単独で取得したうえで交渉に入ることが望ましいですね。特許は完全に実証されなくても取得できますから、想定される課題を設定してシミュレーションするだけでも良いと思います。

■ベンチャーの多分野展開における知財戦略とは

李:用途においても自分たちで知財化していくことが重要なのですね。とはいえ、手持ちの基本特許だけでは心許なさが残ります。大手企業とはどのように話し合いを進めていくのが望ましいのでしょうか。
鮫島:大手企業の動きとしてまず想定されるのは、さまざまな文献を調べるなどして、基本特許を無効にしようとすることです。これが難しいとわかると、次は周辺の特許を自分たちで抑える行動に出ることが予想されます。お互いに必要な特許をもっているということを前提として、フラットな立場で交渉を持ちかけてくるわけです。
李:大学の助成金を活用する当社としては、事業として収益化することが至上命題です。そのために、理想的な落とし所はどのようなものになるのでしょうか。
鮫島:この技術に関する唯一の知見をもっている御社には、大きな交渉力があります。ですから、連携する際に、改良特許を取るのは構わないが、それを御社と御社の取引先に対して権利行使しないという権利不行使条項を付ければ良いでしょう。それができないならば他のメーカーと組む、といった姿勢を見せれば相手の顔色も変わると思いますよ。もちろん、こうした交渉は簡単ではありませんから、われわれのような法律顧問が必要となるわけです。
李:準備やノウハウがなくテーブルに付くことはリスクが大きいのですね。交渉に関してプロに任せられるのは頼もしく思います。
鮫島:知財戦略には、実際の交渉戦術と、交渉力を担保する根拠となる特許という両輪が重要です。御社が保有する、革新的で社会貢献性が高いエルシオグラスにかかる技術が人々の視界をクリアにし、世の中を笑顔にすることに期待しています。本日はありがとうございました。

*対談後のコメント

【李副社長】

我々は、ベンチャー企業としては駆け出しであり、PoCのための研究開発を行っている中でも、将来の製品開発に向けて、大手企業との知財や販売の交渉は既に開始しています。鮫島先生のような専門家にご相談できることを大変心強く感じており、知財交渉の失敗による大手企業の過度な介入を防ぐことで、我々の目指す社会の実現に向けて、まっすぐに歩んでまいりたいと思います。

【鮫島先生】

度が変えられるレンズという基本技術を保有する大阪大学発ベンチャー企業である。汎用性がある技術なので、知財戦略ももちろん、PoCや補助金によって目前のキャッシュフローを維持しつつも、どの分野に注力していくのが一番早期に立ち上がるのかという戦略性が非常に重要になるように思われる。


―「THE INDEPENDENTS」2020年3月号 P12-13より
※冊子掲載時点での情報です

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