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(株)トルビズオン

2020-02-20 公開

<話し手>
(株)トルビズオン
代表取締役 増本 衛 氏
生年月日:1978年1月9日 出身高校:下関西高校
西南学院大学法学部、九州大学経済学府産業マネジメント学科(MBA)卒業。日本テレコム(現ソフトバンク)を経て、父が経営する人材派遣会社での勤務を経て2014年当社設立、代表取締役就任。

【株式会社トルビズオン】
設 立 :2014年4月14日
所在地 :福岡県福岡市中央区大名2-4-22 新日本ビル3F
資本金 :14,500千円
事業内容:上空シェアリング「sora:share™」運営、ドローン事業
URL :https://www.truebizon.com/

<聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
弁護士 鮫島 正洋氏(左)
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。

鮫島正洋の知財インタビュー

オープンイノベーション推進の注意点とドローン空域管理の世界展開に向けて


■世界中に「空の道」構築を目指す

増本:当社は、「Sky as a Service(サービスとしての空)」を実現し、世界中に「空の道」を構築することをビジョンに掲げ、ドローンユーザと土地所有者が上空使用権を取引するプラットフォーム「sora:share」を運営しています。有人航空機が飛ぶようなはるか上空ではなく、家に近い部分の空域の利用については、民法207条によって権利が保証されています。
鮫島:非常にユニークな事業ですが、知財戦略についてはどのように取り組まれていますか?
増本:空域利用促進システム「スカイドメイン」のビジネスモデル特許を取得済です。例えば、Webサイトのデータの置き場所はコンピューターに対してIPアドレスという数字の羅列で示されますが、人間には分かりやすいように「◯◯.co.jp」というような文字列を紐付けています。空に対しても、緯度・経度・高度から成る数値の連続体に「スカイドメイン」を割り当て、さらにドローン飛行に必要な気象データや電波状況、そして何より空域の取引に必要な地価の空版にあたる「空価」等のデータベースを付与するのです。これをシステムに落とし込んだものに対する特許になります。

■オープンイノベーション推進における注意点

鮫島:1社単独で成り立たせるには難易度の高い事業なので、自治体や大企業を巻き込んだオープンイノベーション戦略が重要になります。既に複数の地方都市とPoC(実証実験)を開始されていますね。
増本:福岡市、つくば市、下関市、神戸市などの事業に採択され、これからドローン物流の社会実装に向けた実証実験やビジネスモデル検証に取り組みます。また、これらのプロジェクトの参画企業はじめ、物流・小売・通信・保険など様々な分野の大企業との交渉も進めています。全てのドローン産業の根幹にある「ドローンに対する社会受容性の向上」について、我々が保有する知見や知財が評価され、独自のポジションを築けているのだと思います。
鮫島:ベンチャーが大企業と組む時には選球眼が重要です。昨今、オープンイノベーションへの取り組みが活況を呈していますが、担当者レベルでは盛り上がっても組織全体の合意形成ができないなど、ベンチャーにとって貴重な時間を浪費するだけのケースも少なくありません。また、残念ながら情報や力関係が非対称なため、不利な条件を提示されているベンチャーも多く見てきました。
増本:たとえば、オープンイノベーションから何らかの発明が生まれた場合や、各企業固有の知見に関してどうすべきかなど、特に大企業相手の契約は難しい局面も多そうだと感じています。
鮫島:貴社のビジネスの根幹となるような空域に関する権利は死守すべきでしょう。それ以外の部分については相手側に譲るなど、全体利益も配慮すると吉です。契約は後戻りができないので慎重に対応してください。また、貴社の場合は有償PoCも前向きに検討すべきかと思います。企業の「本気度」を見極めることにつながります。まずは「高めのボール」を投げてみることも有効です。貴社のビジネスモデルにはそれだけの魅力と強みがありますから、弱気にならずに交渉されることを勧めます。

■グローバル展開に向けた取り組み

増本:今後数年で全世界にドローン物流が広がっていきますが、当社は「sora:share」をスマートシティのインフラに組み込みたいと考えています。国内でビジネスモデルを構築した後は、スカイドメインを組み込んだスマートシティ開発パッケージの海外展開を目指しています。当社ビジネスモデルと親和性が高そうな国、またすでに何らかのコネクションがある国をリストアップするだけでも、15~20カ国になります。
鮫島:それらすべてに出願できれば理想的ですが、資金調達状況によっては、そのうちの2~3カ国とか5~7カ国といった選択を迫られます。このとき、まず優先度が高いのは、国土面積、経済規模、人口といった観点からアメリカと中国です。国土面積は通常は考慮要素には入れませんが、貴社のようにドローンの飛行パスを扱うビジネスにおいては重要な要素となります。次に、「EP出願」という1つの出願で全域をカバーできるヨーロッパですね。この3つが第一優先と言って良いでしょう。
増本:それらの主要国を抑えつつ、ASEAN諸国やインドに出願できればと思います。このほか当社では、SDGs(持続可能な開発目標)の全17項目の中に「海」や「陸」に関する項目はあっても「空」がないことに着目し、目標の18番目として「空」に関する項目を提言する活動も行っています。これも海外展開に向けた動きの一環です。
鮫島:良い意味で「ベンチャー離れ」した、スケールの大きなビジネスモデルが貴社の魅力です。空域管理という貴社独自のポジションをより強固にするには、「スカイドメイン」のビジネスモデル特許に加えて、あといくつかの特許も押さえられるとベターです。「sora:share」が世界標準となる日を楽しみにしています。本日はありがとうございました。

*対談後のコメント

【増本社長】

人口密集で地権者の意識が高い、超高齢化が進み社会インフラの自動化が急務であるという外部環境を強みとし、世界に通用する「空のデファクト」を作ろうと考えています。この壮大な夢を実現するために法務・知財の観点が非常に重要であることを再認識しました。下町ロケットの弁護士モデルとなった鮫島先生の助言は非常に的確で、頼もしく感じました。

【鮫島先生】

スケールが大きいビジネスで、かつ、国内だけでも大企業の競合が多いと聞いている。競合とは、ビジネスモデルが異なるが、だからこそ今のうちにビジネスモデルにかかる特許を含めた知財戦略の実施が必須となる。また、取引先も大手が中心となることが予想されるので、併せて、法務面についても十分な体制で臨む必要があると感じた。


―「THE INDEPENDENTS」2020年2月号 P14-15より
※冊子掲載時点での情報です

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