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広島県チャレンジ企業セミナー

2019-07-11 公開

「広島発ベンチャーの活性化に向けて」

田原 栄治 氏(株式会社ミルテル 代表取締役社長)

上浦 遼 氏(上浦会計事務所 所長)

松井 佳彦 氏(株式会社東京証券取引所 上場推進部 調査役)

<モデレータ>秦 信行 氏(國學院大学 名誉教授)


■広島県のIPO動向

秦:今回は広島県発のベンチャーの活性化について考えてみたいと思います。まずは東京証券取引所の松井さんから広島県のIPO動向について教えてください。
松井:広島県の上場企業数は49社で全国12位です。ここ数年では、2016年に広島大学発ベンチャーのフェニックスバイオ、2017年に備後地区からポエックやマツオカコーポレーションが上場しました。
上浦:広島市周辺ではマツダなどの大企業の関連事業者が多いのに対し、備後地区にはより独自性の高い企業が多く、独立して事業を拡大していこうという事業者が多い印象があります。ただし、上場の準備段階まで到達している企業は社歴の長い企業が多く、若手起業家たちの台頭はまだこれからのようです。
秦:広島県内での起業について考えると、やはり広島大学発ベンチャーの存在は大きいと思います。ツーセル(代表取締役:辻紘一郎氏)など、医学部や薬学部の基礎研究成果に基づいたバイオ・ヘルスケア領域のベンチャーが多いことが特徴的です。

■広島大学発ベンチャー・ミルテル

秦:田原さんが代表を務めるミルテルも広島大学発ベンチャーの一つです。
田原:当社は血液検査を通じて、「未病状態の把握」と「疾患の早期発見を促すリスク把握」により、疾患予防の取り組みを提供し、国民の健康長寿を目指す広島大学発ベンチャー企業です。現在は血液検査を通じて、未病状態における生活習慣の改善を促す未病検査とがんや認知症の早期予測を促すリスク検査である「ミルテル検査」を中心に事業を展開しており、今後は検査後のフォローや薬の提供等を含めて包括的に人々の健康長寿の促進に貢献していきます。
秦:代表就任の経緯を教えてください。
田原:ミルテルは、当社創業者の田原栄俊(現取締役会長)が広島大学で基礎研究を行っていた際、教え子が若くして胃がんで亡くなったことから、検査を通して基礎研究の技術を人々に還元し、病気になる人を減らしたいという想いで2012年9月に設立されました。私は生まれも育ちも広島県で、広島大学・同大学院薬学部を経て製薬会社で診断薬の開発や創薬研究に従事していました。その後、海外子会社に出向していた際に創業者からの勧めで2013年に当社に入社し、2014年1月に代表取締役に就任しました。
秦:広島を拠点にしていて悩みや課題などはありますか。
田原:やはり人材の乏しさを痛感します。事業に即した専門性の高い人材が少ないことはもちろん、成長期に会社の基盤を支える管理系の人材も足りていないと思います。未だ終身雇用の文化が根強い中で、大企業でそれなりの地位を気づいた管理職クラスの人材をベンチャー企業に呼び込むことはなかなか容易ではありません。ですが、これまで広島の地域の皆さんの支えがあって成長してきたと感じているので、今後も広島県に本社と検査所を置き、地域経済の活性化に貢献していきたいです。
松井:設備の必要ないITベンチャーはすぐに東京に移ってしまいがちですが、広島大発ベンチャーには大学の基礎研究に基づき、地域と密接に関係している企業も多いです。是非広島で力をつけて、IPOを目指してほしいと思います。

■IPO創出を通して広島県のベンチャー活性化を目指す

秦:広島発ベンチャーの活性化を目指すうえでは、やはりをIPO増やしていくことが鍵になると思います。今後の広島県からの上場企業創出に向けた取り組みとして、地域金融機関との連携を強化している東証では、2018年8月に広島銀行と地域経済発展のための基本協定を締結しています。
松井:広島銀行では広島ベンチャーキャピタルを設立するなどエクイティ調達の支援も活発に行っているということで、今回の協定締結に至りました。
上浦:最近では京都でVC同士が連携した勉強会が開催されるなど、VCの間でも、資金面だけでなく事業的な面でのサポートが活発になってきているようです。ミルテルも広島ベンチャーキャピタルから出資を受けていますね。
田原:当社は2016年7月に約1.9億円、2018年6月に約5.8億円の資金調達を行いましたが、単なる資金集めに留まらず、事業連携も視野に入れて出資先を募集しました。地元の広島ベンチャーキャピタルのほか、バイオ・ヘルスケア領域に強い東京大学エッジキャピタル(UTEC)やビヨンドネクストベンチャーズからは出資だけでなく社外取締役を招聘し、経営面でもサポートしていただいています。
秦:未上場でもある程度の資金調達や事業支援が受けられるようになっている現状で、これからのIPOは企業にとってどのような意味を持つのでしょうか。
松井:近年は資金調達以外のメリットを目的に上場を目指す会社が多いです。実際に、上場企業の社長の多くが上場後の変化として知名度・信用度の向上を挙げています。人材不足が深刻化する最近では、採用面でのメリットの大きさも注目されています。
上浦:事業承継を兼ねての上場も増えてきています。広島県は事業承継の後継者が決まっていない企業数が日本でトップクラスに多いというデータがあり、今後事業承継関係での上場は増えていくと思います。
秦:日本はデッドの調達中心でここまで進んできてしまったために未だに株式市場についての認識が希薄なように思います。広島にはかつて証券取引所がありましたが、地域と資本市場の間に今後より強固な関係を結び、地域一体となってベンチャー企業が上場できるレベルまで成長させるエコシステムが構築されることに期待したいです。本日はありがとうございました。


※「THE INDEPENDENTS」2019年7月号 - P14-15より
※冊子掲載時点での情報です

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