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(株)ANSeeN

2019-06-28 公開

<話し手>
(株)ANSeeN 代表取締役CEO 小池 昭史氏(右)
生年月日:1984年7月20日 出身高校:群馬工業高専
2009年静岡大学大学院情報学研究科修了。2011年当社入社。2012年当社代表取締役就任。

【株式会社ANSeeN】
設 立 :2011年4月1日
資本金 :129,645千円
本 社 :静岡県浜松市中区城北3-5-1 静岡大学光創起イノベーション研究拠点等303
事業内容:放射線検出器、及びX線イメージャの設計開発・製造販売
URL :http://anseen.com/

<聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
弁護士 鮫島 正洋氏(左)
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。

鮫島正洋の知財インタビュー

次世代のX線技術で人々の安心・安全に貢献



■次世代型放射線検出器を開発する静岡大学発ベンチャー

小池:当社はCTOでもある静岡大学・青木徹教授による、カドミウムテルライド(CdTe)半導体検出器の研究成果およびノウハウをベースに設立された静岡大学発ベンチャー企業です。

鮫島:CdTeとはどのような半導体なのでしょうか。

小池:従来の検出器と比べて高感度(約1000倍) ・高解像度(2倍以上)のX線検出が可能であり、少ない放射線でも非常にシャープな画像を得ることができます。さらに、医療診断時には、被ばく線量を従来の1/100程度に抑えることができ、経年劣化もありません。

鮫島:医療業界に加え、自動車や半導体の工場等の非破壊検査業界での活用に期待されています。

小池:近年、電子部品が複雑化する中で、従来の抜き取りによる可視光検査だけでは部品の正確な情報を捕捉できない状況が生じていました。当社の次世代X線センサを用いることで従来は定量化できなかった部品内部のワイヤボンディングを定量化したことで、全自動での良・不良判定が可能になります。

鮫島:前回お会いした2017年から事業の進捗はいかがですか。

小池:計画から大きく遅れることなく進んでいます。2018年にはリアルテックファンド、静岡キャピタル、はましんリース・信金キャピタルによる第三者割当増資及び助成金により、シリーズAラウンドにて約3億円の資金調達を行いました。現在は試作品の大型化とコスト削減を重ねながら、共同研究などを進めています。

■半導体における知財保護のポイント

鮫島:特許の取得状況について教えてください。

小池:基本技術特許に関しては、青木教授から優先使用権を得ています。さらに、申請中のものを含めると青木教授と共同で出願している特許が約10件あります。特許化すべき部分とノウハウとしてブラックボックス化すべき部分の判断の難しさを感じています。後から「出願しておけばよかった」と後悔することもありました。

鮫島:貴社の場合は半導体の内部には特許の侵害検出性がないので、目に見える構造の部分で知財を構築し、保護していかなくてはなりません。さらに、海外展開を視野に入れているのなら、日米だけでなく中国やインドなど各国に出願する必要があります。

小池:国際特許の取得も並行して進めています。当社の製品は工場等のインフラとして導入されるケースが多く、実績が公表できないこともしばしばですが、特許をアピールや交渉の材料としてうまく活用していきたいと考えています。

■今後の事業展開

小池:2020年度にラインセンサの製品化を行い、非破壊検査市場への進出を計画しています。翌2021年度からは量産体制を構築します。まずは研究機関等との共同開発やOEM販売を進めつつ、将来的には当社独自製品の生産を検討しています。生産に関しては基本的には外注を考えていますが、半導体のプロセス部分など自社で賄わなくてはならない部分もあります。

鮫島:貴社のように全てをファブレスにできないハードウェアベンチャーにおいては、生産技術は一番の課題だと思います。例えば自動車工場のラインへの導入後に問題が見つかったら、数十億円もの損害が出る可能性もあります。いかにして大企業と同レベルのクオリティを効率的に構築するかが重要になりそうですね。

小池:今後の資金調達の中で、大企業でノウハウを身に付けたOBの採用などの人材面の強化も意識して行っていきたいと思います。

鮫島:貴社が成功例を確立できれば他のハードウェアベンチャーもそれに続くことができると思うので、ぜひ成功してほしいと思います。本日はありがとうございました。


*対談後のコメント

【小池】
的確な質問・コメントを頂き、自社課題についても再度認識することが出来たと思います。鮫島先生にはこれまでもすでにお世話になっておりますが、今後は、より包括的な知財獲得とその計画をご相談したく、今後ともよろしくお願いします。最小限の投資で最大限の利益を出していく必要があるのはベンチャーの命題ですが、知財でさらにリバレッジをかけられるような戦略を立て、実行していきたいと思っておりますので、今後とも、ご支援のほどよろしくお願い申し上げます。
【鮫島】
従前、解像度の低かったX線検出技術を飛躍的に高めるブレークスルーが期待される。それが実現できれば新たな製品への搭載も期待され、市場規模も相当なものになる。となると、競合の出現を抑制することが必至であり、そのために知財にどのような規模で投資できるかが、成功に向けてのキーとなる。


―「THE INDEPENDENTS」2018年6月号 P26-27より
※冊子掲載時点での情報です

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