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(株)ひむかAMファーマ

2018-10-11 公開

<話し手>
ひむかAMファーマ(株) 代表取締役 新城 裕司 さん
宮崎西高校出身。京都大学工学部、同大学院修了後、JR九州を経て宮崎大学産学・地域連携センター(後に知財部門長就任)。2017年同校退任し、当社設立、代表取締役就任。MBA、弁理士資格を持つ。

<聞き手>
弁護士法人内田・鮫島法律事務所
弁護士 鮫島 正洋さん(左)
1963年1月8日生。神奈川県立横浜翠嵐高校卒業。
1985年3月東京工業大学金属工学科卒業。
1985年4月藤倉電線(株)(現・フジクラ)入社〜電線材料の開発等に従事。
1991年11月弁理士試験合格。1992年3月日本アイ・ビー・エム(株)〜知的財産マネジメントに従事。
1996年11月司法試験合格。1999年4月弁護士登録(51期)。
2004年7月内田・鮫島法律事務所開設〜現在に至る。

鮫島正洋の知財インタビュー

難治性炎症性腸疾患の特効薬開発を目指す宮崎大学発ベンチャー



■宮崎大学の研究成果を事業化

新城:当社では、1993年に宮崎大学医学部(旧:宮崎医科大学)で発見されたアドレノメデュリン(AM)の改良による創薬シーズの研究を進めています。AMは生理活性ペプチド(アミノ酸が結合したもの)の一種であり、強力な血管新生作用や粘膜修復作用があります。元から体内にある物質であるため抗原性がなく、高い安全性を持ちます。

鮫島:対象疾患は、安倍総理も告白している潰瘍性大腸炎やクローン病などの炎症性腸疾患ですか。

新城:そうです。国内の患者数は約20万人、世界では300万人ほどで、日本では指定難病に認定されています。当社では安全かつ効果の高い特効薬の創薬を目指し、宮崎大学を主体とした天然型AMの開発と並行して独自に改良を加えた次世代型AMの開発を行っています。

■弁理士としての産学連携支援から起業の道へ

新城:最初の就職先(JR九州)では現場や本社企画部門での業務が中心だったので、ビジネススキルを磨くために九州大学ビジネススクールでMBAを取得しました。そこで技術経営(MOT)や産学連携に関心を持ちました。その後宮崎へ帰郷することになり、転職先がなかなか見つからないなか出会ったのが宮崎大学産学・地域連携センターの知的財産担当の募集でした。

鮫島:偶然にも興味のあった産学連携に携わることになったんですね。そこでなぜ弁理士の資格を取ろうと思ったのですか。

新城:知財に関しては全くの素人だったので、周囲の教員から早く認められたいと感じたからです。資格を取ったことで知財の専門家としての信頼の獲得に繋がったと思います。

鮫島:この時に出会ったのが北村教授によるAMの研究だったんですね。

新城:特許取得のサポートを行っていた際に、臨床研究で患者に投与したAMの効果に衝撃を受けました。この事業を自分が主体となって動かし特効薬開発を実現したいという想いから大学を退職し、当社を設立しました。

■創薬業界ならではの知財戦略

鮫島:創薬業界は収益を生むまでに数度の臨床試験や薬事承認などの長い時間を要するので、独特の特許戦略が必要です。

新城:天然型AMの特許は、発見時にとある企業が物質特許(新規に製造された医薬・化学物質に対して取得される特許)を取得していましたが、何も活用されないまま特許は切れていました。

鮫島:当時の大学の研究シーズとしてはよくあることですね。誰にも手を付けられないままにされていたことで貴社が独占的に研究を進められているので、かえって良かったのかもしれません。

新城:動物を対象に研究を進め、用途特許(既存の化合物に対して新規で有用な用途がある場合に取得される特許)を取得していました。その後、ヒト投与した際に劇的な効果があることを発見しました。そこでさらに対象疾患を絞り、日米での特許を成立させました。

鮫島:物質や適用疾患が公知でありながらも特許を取得できたのは、人間への顕著な効果があったからこそでしょうね。このタイミングで日米での特許取得をしていたことが、QBキャピタルなどVC9社からの資金と、国からの開発補助金を合わせて約7.5億円の資金調達につながったのだと思います。

新城:新城:数百万円かけて特許を取得することがその後数億円規模の研究費用の獲得に繋がるのだと大学に強く訴えました。次世代型AMに関してはグローバルな権利取得を目指して手続きを進めています。

鮫島:弁理士の資格を持ち、産学連携センターにも勤務していた新城さんからの相談だったからこそ大学側も承諾したのではないでしょうか。前倒しのコストは掛かりますが、早期に確実に特許を取得することがポイントだと思います。


■今後の事業展開

新城:天然型AMについては早期の薬事承認を目指して宮崎大学を中心に治験を実施しています。次世代型AMは初めからグローバル展開を視野に入れており、近々に動物実験を開始します。現在の資金で治験薬の開発まで進める予定ですが、来年には臨床試験に向けさらに10億円規模の資金調達を予定しています。

鮫島:実験結果が出れば安全性を提示できるので、優位な交渉にも繋がります。大手事業会社とのオープンイノベーションも考えられるのではないでしょうか。

新城:自社の製造設備を持たないので、製造販売のバリューチェーンを持つ製薬会社を対象に提携先を探しています。また、このシーズは他の疾患領域への拡大も見込めるので、共同開発という形で開発費を貰って研究を進める方法も検討しています。

鮫島:協業に際しては、知財を活用して交渉や契約を有利に進めていきましょう。創薬では知財が鍵となりますから、新城さんの知識を活用した事業拡大を期待しています。本日はありがとうございました。


(2018.7.18)


―「THE INDEPENDENTS」2018年10月号 P22-23より

THE INDEPENDENTS 最新号


【2018年12月号】
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