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知的財産判例に学ぶ企業活動(1)

2018-05-11 公開
弁護士法人 内田・鮫島法律事務所
弁護士/弁理士 高橋 正憲

弁護士法人 内田・鮫島法律事務所
弁護士/弁理士 高橋 正憲 氏

2004年北海道大学大学院工学研究科量子物理工学専攻修了後、(株)日立製作所入社、知的財産権本部配属。2007年弁理士試験合格。2012年北海道大学法科大学院修了。2013年司法試験合格。2015年1月より現職。

【弁護士法人 内田・鮫島法律事務所】
所在地:東京都港区虎ノ門2-10-1 虎ノ門ツインビルディング東館16階
TEL:03-5561-8550(代表)
構成人員:弁護士25名・スタッフ13名
取扱法律分野:知財・技術を中心とする法律事務(契約・訴訟)/破産申立、企業再生などの企業法務/瑕疵担保責任、製造物責任、会社法、労務など、製造業に生起する一般法律業務
http://www.uslf.jp/

図参照

知的財産判例に学ぶ企業活動(1)

他人の文章を真似ると著作権侵害?


1.はじめに

 今回のコラムから新連載です。新連載では、知的財産に関する裁判例を紹介します。企業活動を遂行する上で、問題となりそうな事案をとりあげ、企業活動に役立つ情報発信ができればと思います。
 初回は、他人の文章と似た文章が掲載された場合、著作権侵害となるのかが争われたライブドア裁判傍聴記事件を紹介します。

2.ライブドア裁判傍聴記事件

 (1)事案
 Xは、A被告に対する証券取引法違反事件の裁判傍聴を行い、複数の証人尋問を傍聴し、傍聴記(「本件傍聴記」といいます。)を作成し、これをインターネットに公開しました。本件傍聴記をほぼそのまま引き写したものがブログ提供サービスを管理運営するYのブログサービスに掲載されました。そこで、XはYに対し、本件傍聴記の削除を求めて提訴しました。

 (2)裁判所の判断
 裁判所は、本件傍聴記の著作物性を否定し著作権侵害に該当しないとして、本件傍聴記の削除を認めませんでした(控訴棄却)。理由を以下のように述べました。
(以下要約)
『本件傍聴記における証言内容を記述した部分・・・は、証人が実際に証言した内容をXが聴取したとおり記述したか、又は仮に要約したものであったとしてもごくありふれた方法で要約したものであるから、Xの個性が表れている部分はなく、創作性を認めることはできない。
本件傍聴記には、冒頭部分において、証言内容を分かりやすくするために、大項目・・・及び中項目・・・等の短い表記を付加している。しかし、このような付加的表記は、大項目については、証言内容のまとめとして、ごくありふれた方法でされたものであって、格別な工夫が凝らされているとはいえず、また、中項目については、いずれも極めて短く、表現方法に選択の余地が乏しいといえるから、Xの個性が発揮されている表現部分はなく、創作性を認めることはできない。 ・・・Xの主張する創意工夫については、経歴部分の表現は事実の伝達にすぎず、表現の選択の幅が狭いので創作性が認められないのは前記のとおりであるし、実際の証言の順序を入れ替えたり、固有名詞を省略したことが、Xの個性の発揮と評価できるほどの選択又は配列上の工夫ということはできない。・・・』

3.本裁判例から学ぶこと

 企業活動において、自社の作成した文章と似た文章が他人に使用され、又は、他社の作成した文章とよく似た文章を使用してしまうケースに出くわすことは少なくありません。そのような時に、著作権侵害となる判断はどのように行えばよいかの示唆を本裁判例は与えてくれます。
 本裁判例は、他人の作成した、ある程度纏まりのある文書がそのまま掲載された場合でも、著作権侵害とならない場合があることを示しています。つまり、本件傍聴記のような「事実の伝達にすぎず、表現の選択の幅が狭い」文章については、結局、誰が書いても同じような文章にならざるを得ないので、これを独占させることは好ましくないという判断です。
 この事例と同様に、表現の選択の幅が狭い文章(ニュース、学術論文、定型文等)に対しては著作権侵害が否定される可能性が高い点は、企業活動遂行においても留意点となります。


※「THE INDEPENDENTS」2018年5月号 - p26より

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