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2018-04-06 公開
國學院大学
教授 秦 信行

國學院大学
教授 秦 信行 氏

野村総合研究所にて17年間証券アナリスト、インベストメントバンキング業務等に従事。
1991年JAFCO に出向、審査部長、海外審査部長を歴任。
1994年國學院大学に移り、現在同大学教授。1999年から約2年間スタンフォード大学客員研究員。
日本ベンチャー学会理事であり、日本ベンチャーキャピタル協会設立にも中心的に尽力。
早稲田大学政経学部卒業。同大学院修士課程修了(経済学修士)

ベンチャーコミュニティを巡って

グリーンシート市場の閉幕と株主コミュニティ


 この3月、20年続いた非上場株式の取引市場であるグリーンシート市場が幕を閉じる。
 日本証券業協会が運営するグリーンシート市場は2007年にスタートした。目的は非上場会社の株式の資金回収の場を確保し、非上場会社の資金調達を円滑化することにあった。

 ご存知のように本来的に株式会社は株式を発行して投資家=株主から資金を集め、その資金で事業を運営する組織として誕生した。従って、数多くの投資家=株主から資金を集めることが出来たなら、投資家=株主一人当たりの資金は小さくても、大きな金額の資金をあつめることができる。

 ただ、少額とはいえ多くの投資家=株主に資金を提供してもらうためには、資金を集める株式会社が信頼できる会社であることなど、投資家=株主に納得してもらう必要があり、かつ、出来れば提供した資金の見返りである株式が売りたいときに売れる状態である必要がある(流動性の確保)。中でも株式の流動性の確保は大きな問題で、多くの非上場株式会社は流動性の確保が難しいが故に株式発行による資金調達が難しい状況にあるといえる。要は、本来的にすべての株式会社(日本では約250万社の株式会社がある)に備わっている資金調達上の有利性は現実には実現できない状況にあると言っていいように思う。

 そうした株式会社の資金調達上の問題を解決する手段がIPO=株式公開・上場だと言ってもいい。IPOした株式会社であれば投資家=株主はいつでも株式を売却出来る。その結果投資家は株式の現金化を気にすることなく株式を購入することができる。それ故上場した会社は、多くの投資家からの大きな資金調達が可能となる。勿論、IPOする株式会社はその反面、会社が信用されるための適時開示などの義務を求められ、一定の経営上の条件をクリアしなければならない。だからこそ上場会社は日本では3600社程度に過ぎない。

 グリーンシート市場は、金融商品取引法上の上場株式の取引市場ではなく、非上場の株式の取引市場であり、金商法上の取引市場とは異なったステイタスで運営されている。とはいえ市場創設の目的は上述したように上場市場と同様であり、非上場会社、中でも地方の非上場会社が投資家=株主からの資金調達をよりスムースに行えるような仕組みを創設することにあった。発足後、数年は順調に市場に登録する非上場会社は増加し、一時は100社近くまでになったが、2005年の制度改正で市場の信頼性向上のために適時開示義務を強化した。その結果、登録企業はそれ以降減少に向かい、ついには終幕に至った。最大の原因は情報開示義務を強化したことで登録会社の開示負担が増加したことにあると考えられる。

 このように見てくると、上場株式であれ非上場株式であれ、取引所市場の円滑化にあたっては、投資家から見た市場の信頼性とそれを担保するための株式会社の経営上の負担のバランスをどのように設計するか、それが重要なポイントだと言えるように思う。ご存知のようにグリーンシート市場は2015年に創設された株主コミュニティに引き継がれた形になっている。その成否もそのあたりにあると言っていいのではなかろうか。



※「THE INDEPENDENTS」2018年4月号 掲載

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