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2017-03-24 公開
國學院大学
教授 秦 信行

國學院大学
教授 秦 信行 氏

野村総合研究所にて17年間証券アナリスト、インベストメントバンキング業務等に従事。
1991年JAFCO に出向、審査部長、海外審査部長を歴任。
1994年國學院大学に移り、現在同大学教授。1999年から約2年間スタンフォード大学客員研究員。
日本ベンチャー学会理事であり、日本ベンチャーキャピタル協会設立にも中心的に尽力。
早稲田大学政経学部卒業。同大学院修士課程修了(経済学修士)

ベンチャーコミュニティを巡って

問題提起-今後の課題


 私事で誠に恐縮なのだが、今回だけ宣伝めいた話を書くことをお許し頂きたい。今般このコラムが100回目を迎えたことから書籍化をしていただいた。本はコラムと同様のタイトル『ベンチャーコミュニティを巡って』で、武蔵野デジタル出版(株)から発刊されることになった。副題として「起業家と投資家の世界」とさせていただいた。ベンチャーの世界、その核心は起業家と投資家が共に手を携えあって今まで世の中にはなかった革新的なビジネスを作りだしていくことにあると考えているからだ。

 2008年秋のリーマンショック直後の2008年12月から始まったこのコラムにおいて筆者はベンチャーコミュニティに関係する事柄を思いつくままに書かせていただいた。書籍化を意識したことはなかったこともあって、取り上げたテーマはバラバラであり、一応編集者の方にテーマ的に関連するコラムを纒めて頂いて3章立てにして頂いたとはいえ、重複する箇所も多く、読みづらい本であることをお断りさせて頂く。
 とはいえ、40年近くベンチャーの世界を見てきたものとして、どんな流れでこのコミュニティが動いてきたかについては意識して書かせて頂いた積りではある。その意味では、その時代をご存じない若い方々には多少の参考にはなるのではなかろうか。

 さて、前回100回目のコラムで「本格的ベンチャーの時代」と題して現状の日本のベンチャーコミュニティについて書いた。筆者の見解では、1990年代後半以降ベンチャーの輩出を妨げるような制度上の問題点がかなり改善されたと同時に、IOT、AI(人工知能)、ロボットなど新しいフロンティア領域が広がってきた。それに加えて2000年代中盤までの少し勘違いをしているようなベンチャー起業家が出てきたことへの反省も踏まえて、日本のベンチャーコミュニティはいよいよ本格的に力を発揮し、従来日本経済を牽引してきたモノ作り系大企業に代わって日本経済の先導役を務める時代が来たと考えている。

 とはいえ、まだ積み残された問題が幾つかあることも事実である。細かいことを言い出すと何点か挙げられるが、大きな問題としてここでは2点指摘しておきたい。

 一つはエンジェルやVCといったリスクマネーの供給量が少なすぎる点である。
VCに限ってみても年間投資額で米国の6兆円、中国の4兆円、これに対して日本の経済規模が幾ら小さいとは言え3,000~4,000億円では話にならない。規模を競うわけではないが、これでは日本には小振りのベンチャーしか出てこないし、ましてやグローバルに活躍するベンチャーは出てこない。米国のように早い時期の年金資金の活用が待たれる。

 二つ目は人々の意識である。確かに最近大企業もベンチャーに急速に接近し始めているが、学生を見ているとマジョリティは大企業志向であり、安定を求める。これは親の影響だと言えなくもないが、だとしても親に反発しベンチャーを志向する学生が数多く出て欲しい。人々の意識の問題は簡単には解決しない問題だと言えようが、そうした人々の意識が真に変わった時に始めて現実的にベンチャーの時代が来たと言えるのだろう。


※「THE INDEPENDENTS」2017年4月号 掲載予定

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