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2016-04-28 公開
NextE㈱ 代表取締役
元・崇城大学 准教授 熊野 正樹

1973年富山県生まれ。同志社大学商学部卒業、同大学院商学研究科博士課程後期退学。
大学卒業後、銀行、コンサルティング会社、TV番組制作会社、IT上場ベンチャーを経て、2005年株式会社ベアーレイドエンターテインメント設立。
同志社大学商学部専任講師、神戸大学大学院経営学研究科学術推進研究員などを経て、2014年より崇城大学総合教育准教授、2016年3月退任。4月NextE㈱設立
ベンチャービジネスに関する理論と実践をふまえたベンチャー起業家教育を実践する。

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「学生ベンチャーによる地方創生」


わたしは三月末まで熊本の崇城大学(旧・熊本工業大学)にて起業家教育に携わっていました。今日はその経験から、学生ベンチャーによる地方創生というテーマでお話させていただきます。

2年前に崇城大学に着任し、まず起業家育成プログラムというものを作りました。今回はその活動を振り返りながら、地方ではどのようなことが課題になっているのか、またその打開策というものについてご説明したいと思います。

学生の起業への関心は高い

崇城大学は学生数3,489名、5学部10学科の理工系の総合大学です。この5学部10学科すべてに対して起業家育成プログラムを展開しています。プログラムは「講義科目」「部活動」「学生起業支援」の3つの柱で構成されています。講義科目は1年生向けの科目です。自由選択科目なのですが800人中400人が受講しており、ここでも起業への関心の高さがうかがえます。大学入学の時点で起業に興味のある学生はいますが、地方では起業家教育を行っている大学が少ないこともあり、そのまま就職活動時期を迎えると、起業に興味のあった学生も就職をしてしまう。そういう状況から見ても、大学が起業家教育を行う意味は大きいのではないかと思います。講義の「ベンチャー起業論」では、まずは起業のメリットとデメリットについてディスカッションしてもらいます。メリットとしては「お金持ちになれる」という意見が多いのですが、デメリットとしては「借金」が挙げられることが多いです。イメージが先行してしまっている部分も多く、資金調達には投資という方法があること等も順を追って学んでいきます。年間の講義全体を通して、学生もしくは20代の若者が資金もなく人脈や経験もない中でどのように活躍していくのか、ということについて種明かしをしていくような授業の展開です。

部活としての「起業部」設立

地方では起業家も少なくロールモデルが少ない———そんな中いち早く熊本でロールモデルになるような起業家を作るため、まずは東京や海外から起業家を呼び、生の声を聞く機会を設けています。後期授業では学内のビジネスプランコンテストへの応募も実施しています。講義は400人が受講しましたが、実際に起業したいという学生も出てきたため、部活として「起業部」を設立、2014年10月に30名が入部し、メディアにも取り上げられました。サークルは学生主体となりますが、我々のスタイルはあくまで「部活」。教員がしっかりノウハウを伝えられるよう、部活という形態をとりました。

起業第1号は南米コロンビアでのカレー屋ビジネス

起業部の中でいち早く事業をスタートしたのはコロンビアで日本のカレーを売るビジネスです。その学生は母がコロンビア人、父が日本人で、年に何回か母のふるさとであるコロンビアに行っていたそうです。毎回色々なお土産を日本から持っていきましたが、中でもカレーは大好評であり、そこに目を付けたビジネスでした。フードトラックを使ったテストマーケティングを行ったあと、ちょうど今現在、資金調達のため日本に一時帰国し、数千万調達しました。いよいよ店舗展開に入ります。支援は引き続きわたしが行っていくこととなっています。また、他の学生も国内の名だたる大学の集まるビジネスプランコンテストの全国大会にも出場しており、部活動として活動を進めることで一定の成果を挙げられたという結果であると思っています。

様々な連携を通して熊本は日本の西海岸になる

崇城大学ビジネスプランコンテストも実施しており、ベンチャー界を代表するグローバルに活躍している方々に審査員をしていただきます。また、審査員の方には、審査だけではなく、学生へ事業のアドバイスも積極的にしていただき、普段、熊本ではなかなか出会うことのできない方々から非常にいい刺激を受けています。

2015年には起業支援として、サイバーエージェントのクラウドファンディングMakuakeと連携、また、サンフランシスコオフィスを開設し、起業家育成のための海外拠点としました。熊本という都市が順番に博多、大阪、東京と目指していっても、その距離感は簡単に埋まるものではありません。もっと視野を広げてサンフランシスコやシリコンバレーを目指そう、熊本は日本の西海岸になろう、という考えです。

地方の抱える課題へ———熊本県と協同の取り組み

我々の取り組みに対して熊本県にも興味を持っていただき、地方創生予算を本学単独で受注することができました。崇城大学のプランに県が参画してくれた形となり、予算をもって進めることができるようになったことは非常に大きな出来事でした。なぜ熊本県がこのような取り組みに興味を持ってくれたのでしょうか。改めて考えてみたいと思います。熊本県は若者の県外流出率が高く、県の職員の方曰く、全国でワースト2とのこと。熊本から博多、大阪、東京に出て行ってしまうのです。本学卒業生の話を聞いても、就職を機に、博多、大阪、東京に行く学生は多いのですが、実際の胸の内は複雑です。どの学生も郷土愛が深く、熊本や九州で就職したかったというのが本音なのです。しかしいい就職先がないという事情があった。魅力的な県内企業の育成に対しては県も問題意識を持っていたし、それは地方の現実でもあります。それを打破するためには学生ベンチャーによる地方創生というのはひとつのやり方であるということが県との共通認識となりました。

課題はロールモデルと資金確保

最後に、このプログラム運営をする上での課題と解決についてお話します。ひとつめの課題は地方にはロールモデルがないこと。解決策としてまずは東京やサンフランシスコのネットワークを活用していますが、将来的には熊本発のロールモデルを作ることが必要です。ふたつめの課題は資金確保です。解決策としては大学当局との厳しい交渉による予算確保、地方創生をはじめとする県との連携、NEDOや地元金融機関、企業による外部からの資金獲得等があげられます。とにかく資金集めに奔走し、運営2年目の2015年は4,000万円確保しました。

専門分野の外に未来は広がっている

崇城大学の学生生活において、各々の理系専門分野を極めることはできますが、多くの学生は研究者になるわけではありません。その研究が将来世の中で何の役に立つのかということを意識し、専門分野の外に様々な未来が広がっているということを伝え続けていきたいと思っています。

任期満了を持って大学を退職しましたが、このような展開は多くの大学で再現できると確信をもっており、このたびNextE株式会社を設立しました。アカデミックの世界とも連携しつつ、今後事業を展開していきたいと考えています。

【松田修一コメント】

2年間で際立った成果を上げた起業教育及び起業部の活動などの話は、地方創生と大学との関係性について多くの示唆を与えていただきました。

―2016年4月4日インデペンデンツクラブ月例会(東京21cクラブ)にて

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