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ベンチャー企業と特許権

2013-01-17 公開
弁護士法人 内田・鮫島法律事務所
弁護士 柳下 彰彦

弁護士法人 内田・鮫島法律事務所
弁護士 柳下 彰彦 氏

1994年慶應義塾大学院理工学研究科物質科学専攻博士前期課程修了後、三菱化学株式会社入社、エンジニアとして電子写真感光体の研究開発に従事した後に、社内弁理士として同社知的財産部にて出願・渉外実務に従事。2006年から万緑国際特許事務所にて弁理士として稼働しつつ2009年03月桐蔭法科大学院夜間社会人コース卒業。2009年09月司法試験合格/11月 司法研修所入所(新63期)。2010年12月弁護士登録。2011年1月内田・鮫島法律事務所入所。2011年4月より桐蔭法科大学院客員教授(担当:民事模擬裁判、知的財産法)。

【弁護士法人 内田・鮫島法律事務所】 http://www.uslf.jp/

ベンチャー企業と特許権 第7回

著作権の譲渡について

近時、不特定の者に対して業務を委託するクラウドソーシングサービスをネット上で見かけます。例えば、i-phoneの新しいアイコンをサイト上で公募して、同アイコンのデザインをアップしてきた不特定の者から、発注者が一番気に入ったデザインを提示した者と契約を結ぶとのサービス(ビジネスマッチング)です。こうしたサイトでは、アイコンに関する著作権は公募者側に譲渡されるという規約が設けられているのが通常ですが、作り手(応募者)の多くは、こうした一方的な著作権譲渡の規約に抵抗感を感じるのではないでしょうか。そこで、特許権とは離れますが、今回はクラウドソーシングサービスを例にとって著作権の譲渡について解説をします。

まず、当然ながら、著作権を譲渡するか否かは作り手(著作者)の自由です。ところが、上記の例でいえば、公募(コンペ)に参加する者はサイトの規約に従うことを余儀なくされるため、著作権譲渡の規約が一方的なものとの印象を持つのは仕方のないところです。

こうした著作権譲渡の契約の有効性が争われた事案として、個人のプログラマーがゲーム機器会社よりプログラム作成を依頼された際に結んだ契約に「完成したプログラムの著作権はすべて会社に帰属する」との条項があったところ、この条項は一方的に著作権を譲渡させる不利なもので公序良俗に反し無効であると同プログラマーが主張し、著作権の帰属を争ったものがあります(知財高裁H18・4・12判決:平成17年(ネ)第10051号)。

知財高裁は、著作権の譲渡は契約当事者の合意により自由に定められる事項であって、プログラマーが著作権譲渡に同意して契約をしている以上は、上記条項は有効で会社に著作権が帰属すると判断しました。つまり、交渉力に差はあるものの、一応納得して著作権譲渡契約をした以上は、立場の弱い者が譲渡の有効性を後になって覆すことは難しいということです。上記クラウドソーシングの例では、著作権譲渡の規約に同意した上でコンペに参加する以上は、後になってこの規約の有効性を争うことは容易ではありません。

ただ、著作権譲渡の際には、著作権法61条2項(“著作権を譲渡する契約において、第27条又は第28条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は譲渡した者に留保されたものと推定する。”との規定)に留意する必要があります。つまり、著作物(原著作物)を改変して別の著作物を創作する権利(翻案権:第27条)や、改変して創作した著作物を利用する権利(二次的著作物についての原著作者の利用権:第28条)は、契約で譲渡が明記されていない場合は、原著作物の著作者に残ると推定されるわけです。上記クラウドソーシングの例でいえば、規約に「著作権法第27条、第28条に規定する権利も譲渡される」という明文がありませんので、譲渡した著作物を改変して新たに別の著作物を創作する権利は、一次的には作り手(応募者)に残っているとされます。

※「THE INDEPENDENTS」2012年12月号 - p21より

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