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2013-03-06 公開
(株)ANSeeN
ANSeeN Inc.
代表取締役 小池 昭史
Koike Akifumi

株式会社ANSeeN
代表取締役 小池 昭史さん

1984年 群馬県前橋市生まれ
2005年 国立群馬工業高等専門学校卒業
2007年 静岡大学情報学部卒業
2009年 静岡大学大学院情報学研究科修了
2011年 株式会社ANSeeN入社
2012年 株式会社ANSeeN代表取締役就任

所在地:静岡県浜松市中区城北3-5-1 静岡大学イノベーション社会連携推進機構内
設立:2011年4月 資本金:10,000千円 CTO:青木 徹(静岡大学電子工学研究所 准教授)
事業内容:カドミウムテルライド(CdTe)半導体検出器の設計・開発・販売
http://anseen.com/

次世代の放射線センサ

―会社設立の背景について教えて下さい
当社は次世代放射線イメージングの研究をおこなう静岡大学電子工学研究所の青木徹准教授が、平成20年度JST大学発ベンチャー創出推進に採択され、約5年間に亘る研究開発の成果物を事業化することを目的に、2011年4月に設立されました。主に、カドミウムテルライド(CdTe)半導体を用いた放射線センサの設計開発をおこなっています。

―CdTeとはどういうものなのでしょうか
従来の検出器に用いられるシンチレータ*1と比べて高い放射線検出効率と吸収率を誇るため、少ない放射線でも非常にシャープな画像を得ることができる半導体です。放射線を直接電気信号に変換するので光電変換機器が不要になり、また、経年劣化もありません。これらにより、低被ばく・高機能・低トータルコストの検出器が実現できます。
*1 シンチレータ:放射線を吸収して蛍光を発する物質

―なぜ今CdTeセンサが求められているのでしょうか
GEやフィリップス、シーメンスなどの大手医用画像診断装置メーカーは、フォトンカウンティグCTやスペクトラルCTと呼ばれる次世代CTをここ数年で事業化していく方針を打ち出しています。これによって大幅な低被ばく化とCTによる機能的診断が可能となり、早期癌発見などの医療診断技術が飛躍的に発展します。従来のシンチレーション検出器では、感度など性能に原理的な限界がきており、これから高度化する医療の要求に応えることができません。これに対し、CdTeセンサの特性と当社独自の高速フォトンカウンティング*2技術を組み合わせることで次世代CTに適応することができます。
*2 フォトンカウンティング:放射線を一つ一つ数えてその色(波長)を検知する方法

―これまでCdTeが普及しなかったのは何故なのでしょうか
CdTeセンサの取り扱いづらさの問題と産業構造だと考えております。高性能のCdTeセンサは機械的、熱的に弱くシリコンのような効率的な生産を行うのが難しいため、価格が割高であったことと、購入後にユーザにも取り扱いのノウハウが必要であったことが普及を妨げる大きな要因でした。また、放射線計測の業界ではカメラメーカー(センサを購入して装置向けの機器にする企業)がほとんどいないため、新たなセンサを用いたアプリケーション開発が進まなかったのも要因の一つです。

―自動実装と量産化を可能にしたpin型CdTeセンサとはどのようなものでしょうか
レーザードーピングによる接合形成技術を用いてCdTe内部にダイオード構造を生成することで、機械的、熱的強度を向上し、自動実装と量産化に適応します。当社CTOである青木徹が「pin型CdTe素子」製法に関する特許を保有しており、企業との共同研究で数千個のpin型CdTeを、歩留まり8割で製造した実績もあります。

―今後の事業展開についてお聞かせ下さい
まずは誰もが使えるCdTeセンサモジュールの開発を手掛けていきます。これまで取り扱いづらかったCdTeセンサをより安価に使いやすい形で提供することで、歯科用X線装置市場やX線非破壊検査市場に向けて販売していきます。2015年度よりpin型CdTeセンサを製造しモジュールに搭載してより高性能で安価なモジュールを提供していく計画です。

―市場規模はどれくらいでしょうか
非破壊検査・医用CT装置において、当社のターゲットとなるカメラで400億円、センサモジュールで120億円の市場があります。現在市場の8割がシンチレーション検出器ですが、当社の製法とフォトンカウンティング技術を用いれば、100倍という非常に高い感度を放射線カメラで実現することができます。量産実装や回路・装置・開発コストを抑えられるモジュールまで提供できれば、そのシェアを置き換えていけると考えています。

―資本政策についてはいかがでしょうか
設備投資や開発費のため資金調達を検討しており、ベンチャーキャピタルほか、事業パートナー候補企業数社とも話を進めています。この事業分野のカメラモジュール事業においてIPOできるほどの売上規模になる例は稀ですが、色々な方よりアドバイスをいただきながら、考えていきたいと思います。

―小池さんの経歴についてお聞かせ下さい
2007年より静岡大学電子工学研究所の三村・青木研究室で学び、2011年当社設立時に役員としてジョインしました。2012年より代表取締役に就任しています。学部生時代は高専での専門知識のアドバンテージを活かすためにできるだけ早く就職をしようと考えていましたが、三村・青木研究室に配属された時に教授たちの研究とマネジメント(教育)に感銘を受け大学院進学を決めました。その後大学発ベンチャーとしての起業のチャンスを知り、自分の関わっていた研究成果を事業にできる可能性や、研究室のユニークな遺伝子を企業という形で残し広めていける可能性の面白さを感じ飛び込むことを決意しました。会社勤務経験のない自分が経営者になることは色々と不安も多いですが、一般企業の非常識がベンチャーとしてユニークな色を出せると信じて突き進んでいきたいと考えています。

―代表取締役として経営に対するお考えをお聞かせ下さい
放射線に対する不安要素が高まる中、医療被ばくを抑えることができるCdTeセンサ事業は社会に必要とされるものだと確信しています。研究開発を担う青木に対し、その成果をきちんと商品化して売れるものにしていくことが私の使命だと考えています。ゆくゆくはCCDのように誰でも使える汎用センサとしてブランドを築き、従来可視光や電気的な非破壊検査が行われていた分野に広く普及させていきたいと考えています。

※全文は「THE INDEPENDENTS」2013年3月号 - p6にてご覧いただけます

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